債務再編に応じなかった債権者への債務返済をアルゼンチンに義務付ける判決を米国最高裁が下したことを受け、国際通貨基金(IMF)が17日、同国の債務は莫大で、同国がデフォルト(債務不履行)に陥れば国際経済にも甚大な影響をもたらす危険性があると警告した。18日付伯字紙が報じている。
米国最高裁は16日、米国地裁が2012年に出した2件の債務返済命令の見直しを求めるアルゼンチンのクリスチーナ大統領の訴えを却下した。米国地裁は同国に、債権者のひとつである米国のNMLキャピタルなどに対して合計13億米ドルの返還を求める判決を下していた。
アルゼンチンでは2001年12月、就任直後のアドルフォ・ロドリゲス・サア暫定大統領がデフォルトを宣言(モラトリアム宣言)、債務が返済できない状態に陥っていた。同国は2005年から10年に債務再編計画を行ない、負債額の92%を占める債権者が負債減額処理などを受け入れたが、残り8%を占めるNMLキャピタルやアレリウス・キャピタルなどはこれに参加せず、全額返済を求めていた。
今回の米国最高裁の判決はアルゼンチン政府を恐れさせている。なぜなら、今回の判決にならって再編計画に参加していない債権者全員が債務返済を要求してきた場合、その返済額は180億米ドルに達すると見られているからだ。アルゼンチンの国際市場に向けた蓄えは280億米ドル分しかない。
今回の米国最高裁の判決を受け、IMFは17日、「非常に懸念すべき判決で、対応を慎重に検討しはじめている」と発表した。IMFは、アルゼンチンが前例となって全世界の債権国が債務国に対して支払いを要求するようなことになってより多くの国がデフォルトに陥り、世界規模の経済的な混乱が起きることを恐れている。
アルゼンチンのアレックス・キシロフ財相は12年の判決を下したトーマス・グリーザ判事のもとに弁護士を送り、話し合いを持つ意向を示している。同財相によるとグリーザ長官は「アルゼンチンを債務不履行に追い込みたいとは思わない」と発言しており、同判事が判決見直しを受け入れることがデフォルトを避け得る唯一の方法だという。同財相は「わが国は2003年から負債の返済を行なっているが、今回の判決通りの債務返済を強要さればデフォルトの回避は困難だ」と語っている。
またスタンダード&プアーズは17日、アルゼンチンは「債務不履行の危険性あり」との見方を示しの格付けをCCC+からCCC-に下げた。
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