笠戸丸移民着伯から106年―。「移民の日」を記念し、今年も各地で慰霊祭や記念行事が開催されている。同日、サンパウロ市ではジョン・メンデス広場のサンゴンサーロ教会で「先駆者慰霊ミサ」、イビラプエラ公園内先没者慰霊碑前で「追悼法要」が執り行われた。今や二、三世が中心となった出席者らは、子孫繁栄の基盤を築き上げた先駆者を偲ぶとともに、改めて感謝の念を捧げた。
18日朝、サンゴンサーロ教会にソニア合唱団の明るい歌声が響き渡った。元コチア職員の集住区、サンパウロ市ビラ・ソニア区に由来する合唱団だ。指揮者の白畑智子さん(83)は、「会員も今はほとんど日系人。毎年呼ばれて歌わせて頂いている」と語る。
今年もアレッシオ・アントニオ・ブローニング神父により日ポ両語でミサが執り行われ、参加者は静かに祈りを捧げた。
在聖総領事館の佐野浩明首席領事、木多喜八郎文協会長、本橋幹久県連会長、菊地義治援協会長、アルモニア教育文化協会の和田忠義会長らが出席、壇上で先駆者の冥福を祈った。
毎年ミサに出席しているという名波三郎さん(73、二世)は「私は日本人の教育を受けたので、気持ちは日本人。移民の日が来ると、父と母がすごく苦労したのを思い出す」と語った。
その後午前10時半からはイビラプエラ公園慰霊碑前で、県連と仏教連合会(采川道昭会長)による追悼法要も。在聖総領事館の福嶌教輝総領事、JICAブラジル事務所の室澤智史所長ら参列者が順に焼香した。
本橋県連会長は「こうして移民の日に集まることは意義深いこと。日本に思いをはせる日としても重要な意味を持つ」とあいさつした。采川会長も「先人をしのび、努力に感謝する貴重な機会。多くの方が集まり、追悼法要ができうれしく思う」と喜んだ。
〃ブラジル移民の祖〃水野龍の三男・龍三郎さん(83、二世)も、昨年に続きクリチバから参列。「父は生前、移民政策は失敗したのでは、と不安を持っていた。しかし現在、移民の日にこうして法要が行われている。こうなることは父の目的の一つだったし、きっと喜んでいる」と笑顔を見せた。