ブラジル代表の初戦12日、サンパウロ市は特別休日になった。第2戦の17日は休みではなかったが、市内は昼過ぎに300キロ超の大渋滞を記録した。大半の会社が昼に一斉帰宅させたから起きた異例の渋滞だ。
自国代表の試合を見るために会社が半日になるなど、日本ではありえない。でもここでは「労働者の権利」として認知されている。事実、試合時間中、南米最大のビジネス街パウリスタ大通りは車一台通らない〃都会の砂漠〃と化した。
その前日、外部委託先の印刷所は「試合開始が午後4時」との理由で、弊社に「昼までにデータ送信を」と注文して来ていた。当然「昼までに仕上げるなんて不可能」と印刷所に逆ねじを巻こうとしたら、横で聞いていた日本人記者たちが「よっしゃ!」とガッツポーズ。あれ…。
W杯中、応援する代表ユニホームで出社してくる編集部員まで。注意などしたら無粋な上司と陰口をたたかれること必至だ。真面目なハズの日本人も「郷に入っては郷に従え」になるらしい。(ニッケイ新聞・深沢正雪)