ブラジル日本文化福祉協会(木多喜八郎会長)は21、22の両日、『第49回コロニア芸能祭』を開催した。会場となった大講堂には、のべ3000人が訪れ、民謡民舞、カラオケ、和太鼓など116の演目に酔いしれた。
初日あいさつに立った頃末アンドレ芸能委員長は、「早くも移民106年が経過した。初期移民のご苦労は計り知れない。ブラジルに向かう移民船の中で運動会や、芸能祭もやっていたと聞く。こうした行事は日本人の心のよりどころです。コロニアの皆様と移民の日をお祝いしましょう」と述べた。
受付でせわしく対応していた実行委員長の楠本留巳さんも、「選考会、パンフレット作成、広告集めなど準備は大変だった」と振り返り、大会当日を迎え一安心した様子。大勢の来場を喜んだ。
第1回大会から皆勤で来場しているという田岡進一さん(90、香川)は、「わずか4歳で平野植民地入りしたが、心はいつでも日本にある。祖国を思い起こす良い機会となっています」と笑みを見せた。
初日は大正琴琴聖会の「荒城の月」で幕開け。全3曲を披露し日本人の心の琴線に触れる曲を奏でた。山崎節子代表は舞台を振り返り、「80代の仲間と一丸となって一生懸命に弾きました。発表すれば多くの人に魅力を伝えることもできる」と話した。
来場者の一人、田中ルイスさん(57、二世)は子ども2人がミカ幼稚園で和太鼓を習う。「父として晴れ舞台を楽しみにしてきた。日本に2年間駐在し妻は日本人。私にとっても日本への思い入れは強い。若い世代への文化継承は嬉しい」と喜んだ。
両日に出番のあったその同園だが、指導する辻沢かずえさんは「初日は緊張もあってか少しうまくいかなかった。今日(日曜日)は舞台を一度経験したことで良くなったのでは。こうやって成長を感じられて喜びです」と振り返り、「単に和太鼓を教えるだけでなく、日本文化を通じて子ども達に礼儀を身に着けるよう教育することも大切」と意義を話した。
同様に初日がうまくいかなかったというブラジル吟剣詩舞連合会の細井真由美さん(65、福岡)は、「練習ではめったに間違えたりしないのに」と悔やんだが、「2日目は気合も入れなおしてうまくできました」と充実の表情。指導者の森下祥星さん(73、福岡)も、「皆さんからとても良い評判を頂きました。非日系も含め一丸となって臨みました」と満足感を見せていた。