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聖市市議会前でキャンプを張るMTSTの人々(Fernanda Carvalho/ Fotos Públicas)
聖市市議会前でキャンプを張るMTSTの人々(Fernanda Carvalho/ Fotos Públicas)

W杯開始で抗議行動減る=FIFAの基準適用求める=MTSTはキャンプで圧力

 ブラジル人はサッカーが大好きなんだ―。W杯予選リーグは今日で終わるが、W杯開始から12日間で起きた抗議行動の数は開始前の12日間の39%に減ったと25日付フォーリャ紙が報じた。
 同紙によると、W杯開始後に主要10市で起きた抗議行動は43件で、開始前に起きた73件より39%少ない。また、抗議行動の理由もW杯開始前と開始後では差があり、開始前は15件起きた労使間の問題に起因する抗議行動は7件のみ。フォルタレーザで23日に行われた建設業界労働者の抗議行動には3千人が参加したが、ブラジル戦の間はデモも止まった。
 開始前は6件だったのに開始後は28件に増えたのはW杯開催に反対するデモだが、23日にブラジリアで行われたW杯反対のデモも、W杯の優勝杯のレプリカを焼いた後、ブラジルとカメルーンの試合前にて終了した。リオで同日行われた抗議行動も、ブラジル戦が開始と共に停止されたという。
 建設業界労働者組合の理事の一人はこの現象について、「我々は試合そのものに反対している訳ではない。国際サッカー連盟(FIFA)が主張するのと同じ基準を病院や学校、公共交通にも適用して欲しいんだ」と説明する。ブラジリアのW杯大衆委員会のメンバーも、皆が試合を観たがっているし、抗議行動参加者もそれに反対する気はない事を認めた上で、状況改善まで抗議行動は続けると語っている。
 リオ連邦大学で政治学を教えるジョアン・フェレス・ジュニオル教授によると、今年の抗議行動はW杯開始前から、昨年より参加者が減る傾向があったが、唯一の例外はホームレスの人々による抗議行動だ。
 ホームレス労働者運動(MTST)による土地占拠などが繰り返されているサンパウロ市では、24日も数千人規模のデモが行われた。25日未明も市議会前で約200人がキャンプを張り、総合開発計画案(プラノ・ジレトール)承認を迫った。
 MTSTによる抗議行動は今年既に6回目で、社会民主党(PSD)のポリス・ネット市議を名指しで攻撃したが、同市議を擁護しようとした野党市議や民主運動党(PMDB)や民主党(DEM)の議員らが欠席したため、計画案の審議は再び先送りされた。
 25日付エスタード紙によれば、サンパウロ市では、持ち家を求める人のリスト登録者が人口の約10%に相当する100万人に達しているが、市住宅局が計画している大衆住宅に入れる人は130万人程。大衆住宅入居を何年も待ち続けている人が大勢いるのに、MTST側の要求を認めれば、めぼしい土地を不法占拠すれば大衆住宅に入れるという印象を与えかねないとの懸念も広がっている。