「ブラジルのことや日系人をもっと知りたい。それが子どもに伝えるためのエネルギーになる」。日本で民族音楽を教える合間、ナタルで開かれたサッカー日本代表戦を観戦するため、23年ぶりに当地を訪れた。
クラシックピアノを嗜んでいた飯田さんは、大学卒業後にインドネシアのバリ島に音楽留学。その後、西アフリカと当地で民族音楽を学び、東京都渋谷区にある大型児童館「こどもの城」に入館した。以来、同館で子どもたちに世界の音楽を伝えることをライフワークとしてきた。
こどもの城では毎週土曜日はサンバの日だ。「当初は楽器を手に入れるのも大変だった」というブラジル音楽だが、今ではブラジル料理店でショーが開かれるなど、少しずつ広がりをみせていることに喜んでいる。
滞在期間中は県人会関係者の家にホームステイ、当地の文化を全身で吸収した。「こういう人たちや社会がブラジル音楽を支えていると感じた。ここでの体験全てが財産になった」。
施設は来年閉館するが、東京学芸大や宮城教育大など3大学で、教師の卵に民族音楽を伝える取り組みは続く。「これからもブラジル音楽を伝え続けたい」と、子どものような笑顔で笑った。(阿)