ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | サンパウロ市議会=プラノ・ジレトールを承認=55人中44人賛成で=駅周辺の都市化など推進=低所得者層住宅も活性化

サンパウロ市議会=プラノ・ジレトールを承認=55人中44人賛成で=駅周辺の都市化など推進=低所得者層住宅も活性化

「住む所は我々の権利」と書いた札を掲げるホームレスの人たち(Arquivo/Marcelo Camargo/Agência Brasil)

「住む所は我々の権利」と書いた札を掲げるホームレスの人たち(Arquivo/Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 向こう16年のサンパウロ市の都市計画の方向性を定める総合開発計画(プラノ・ジレトール)最終案が6月30日、サンパウロ市議会で2度目の投票にかけられ、賛成多数で可決された。これにより、2030年をめどとする地下鉄周辺などの都市化や、低所得者層への住宅建設が促進されることになりそうだ。1日付伯字紙が報じている。

 6月30日に市議会で審議された総合開発計画案は、55人いる市議のうち44人の賛成を得て可決された。あとはフェルナンド・ハダジサンパウロ市市長(PT)が裁可後、有効となる。
 ハダジ市長は就任直後の13年2月から総合開発計画の見直しを主張しており、同年8月には市長からの具体的提案も行なった。だが、修正を求める議員が多く、最終案には、今年4月の一次承認後に提出された修正が26も入っていた。
 民主社会党(PSDB)をはじめとした野党側議員は、同法案がサンパウロ市の自然を保護する保障がないことなどを理由に反対していた。4月にはこの法案に対する審議が裁判所によって差し止められたこともあった。
 だが、審議の遅れに不満を抱いたホームレス労働者運動(MTST)などが抗議活動を行なって圧力をかけ、総合開発計画承認への気運が高まった。市政府はMTSTが5月に不法占拠したイタケーラ地区の土地も開発計画の対象に盛りこもうとしたが、野党側は「MTSTの人たちだけに配慮したやり方だ」と抗議したため、イタケーラの土地だけを扱う法案を同日承認することで了承をとり、審議を進めた。
 今回、この法案が通過したのは、ハダジ市長が議席の多い与党側の民主運動党(PMDB)の議員の要求を聞き入れて修正箇所に応じたからと見られている。この法案の承認により、サンパウロ市では2030年までをめどとする新たな都市計画が進められることとなる。
 最初に注目されるのは、地下鉄の駅周りやバス通りなどの交通の要地でも、現行法の上限の8階建てより高く、1世帯平均80平米程度の住居と商用を兼ねたビル建設を認めたことだ。
 また、低所得者層向けの大衆住宅建設用地が確保され、その建設も推進される。その数は16年間で約50万世帯分とされ、毎年、約250カ所にアパートを建設することになりそうだ。これはMTSTの要求が反映されたものだ。
 さらに、交通の円滑化のため、新しく建設するビルなどの周りではより広い歩道の確保が義務付けられる。また、交通要地の近くの建物に1世帯あたり1台以上の駐車場を建設する場合は税金が加算されることになる。
 また、米国で一般的になりつつある小型の公園「ミニ・パーク」を多く作ること、中央部のセーやレプブリカにレストランやバーの集まる24時間制のレジャー・エリアを作ることなどが法案には盛り込まれている。
 なお、MTSTがイタケーラで占拠した土地に大衆住宅を建てるプロジェクトも総合開発計画承認の直後に41対3で承認された。