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5月の基礎的収支大赤字=史上2番目の110億レ=税収減や4月の粉飾響く

 連邦、州、市の各政府と公社の連結公共部門の基礎的財政収支が、5月に110億4600万レアルの赤字計上と6月30日付アジェンシア・ブラジルや7月1日付伯字紙が報じた。
 基礎的財政収支(プリマリー・バランス)は、税収や税以外の収入から国債の元本返済や利子の支払用の費用を除く歳出を引いた額で、政策的な経費を税収などで賄えているかを知るための基本的な資料となる。
 ブラジルの基礎的財政収支の集計は2001年12月から始まっており、110億レの赤字という数字は、国際的な金融危機勃発直後の2008年12月の209億5200万レに次ぐもので、5月の基礎的財政収支が赤字になったのは初めてだ。昨年5月は56億8千万レの黒字だった。
 5月の基礎的収支の内訳は、国庫と中央銀行、社会保障を合わせた中央政府会計が110億7300万レの赤字、州政府は2億8400万レの黒字だったが、市は2億7200万レの赤字。ペトロブラスやエレトロブラスを除いた公社は1500万レの黒字だった。
 5月の基礎的収支赤字を受け、1~5月の累積収支は国内総生産(GDP)の1・52%にあたる314億8100万レに縮小。連邦政府は181億200万レ、州政府は104億400万レ、市は31億5700万レの黒字だが、公社は1億8200万レの赤字を計上している。
 5月の基礎的収支赤字を受け、市場では今年の黒字目標達成を危ぶむ声が出てきている。1~4月の累積収支黒字額はGDPの1・87%で政府目標の1・9%をほぼ達成と発表されていたが、一部の専門家からは、政府の努力は財政管理より収支バランスの粉飾に向けられているのではとの見方さえ出ている。
 6月28日付伯字紙によると、経済活動の停滞などで5月の国税収入は4月比17・37%減の879億レアルとなり、税収増加目標が3%から2%に下方修正された。
 中銀や財務省では、滞納されている税金徴収や公社などが払うはずの特別収入があるため、今後の基礎的収支は改善し、黒字目標も達成可能というが、経済基本金利(Selic)引き上げで国債の利子支払額は拡大。基礎的収支と利子支払額を総合した名目上の赤字額は5月だけで324億4400万レ、今年の累積は700億7500万レとなっている。
 なお、5月末時点のブラジルの純負債額は1兆7250億レアルで、GDP比では4月比0・4%ポイント増の34・6%に達した。債務総額はGDPの58%にあたる2兆895億レで、こちらも4月比0・2%ポイント増となっている。