今週から全伯各地で〃白い象〃が次々に誕生しているといえば奇異に聞こえるだろうか―。「白い象」といえば、お釈迦様の生誕を祝う稚児行列の先頭をゆく神聖な動物という印象か。だがポ語で「エレファンチ・ブランコ」なら「無用の長物、やっかいもの」を意味する▼冒頭の言葉は、W杯決勝トーナメントが進み、全伯12会場の地方施設が次々に役割を終えていることを指す。特に批判が集中するのは次の4競技場だ。日本代表戦もあったクイアバ会場は「白い象」の典型だとマスコミは指摘する▼そのパンタナール競技場は5億7千万レアル(約261億円)を投じて建設した4万4千人収容の最新施設だ。ところが昨年のマット・グロッソ州サッカー選手権では全76試合の平均観客動員数は605人(グローボ・エスポルテ13年6月3日報道)。同競技場でその観客数なら閑散としすぎ、経費がかさむばかり▼同様に6億7千万レを投じてマナウスのアマゾナス競技場を作ったが、同州選手権も平均動員数は807人(同)。ナタル競技場のある北大河州選手権は958人、なんと19億レと言われる超豪華なマネ・ガリンシャ競技場を作ったブラジリア選手権も1176人(同)。いずれも4万人超の収容能力にはそぐわない数であり、膨大な維持費をどうひねり出すのか心配になる▼泣いても笑っても、あと1週間余りでW杯は終了する。〃社会的な鎮痛剤〃が切れると同時に、選挙戦が本格的に始まる。例年通り、虚実ない交ぜの見苦しい批判合戦が連日繰り広げられ、当然〃白い象〃の後始末も批判対象になる。2年後に迫ったリオ五輪で今回の教訓は活かされるのか。(深)