今年の初頭から水不足が不安視されているカンタレイラ水系について6日に発表された対策委員会(コミテー)の報告では、2014年12月から15年4月までの次の雨季に同水系の水位が回復する可能性は低いという。7日付伯字紙が報じている。
2014年はこの10年間ではじめて、乾季に入った時点(5月1日)のカンタレイラ水系の貯水率が35%を切った年となった。2004年の干ばつのときの水位は35・5%だったが、今年はその3分の1以下の10・5%だった。
サンパウロ州水道公社(Sabesp)は5月15日、同水系の取水口の下にある「未開の水域」と呼ばれる部分の水1825億リットル(18・5%相当分)の取水を開始した。それから2カ月足らずで「未開の水域」の水込みの貯水量は20%を切った。最も悲観的な予測なら、通常の取水可能な水は今月10日、「未開の水域」からの分も10月か11月に底を突く可能性がある。
コミテーの報告書によると、次の雨季(2014年12月~15年4月)で、「未開の水域」の水を元に戻した上で貯水量も37%に達する確率は25%と、決して高いものではない。そのためには、5カ月間で5460億リットル分の雨が期待される。
さらに、雨が「未開の水域」を汲みだす前の貯水量に達する可能性は50%と見ている。この場合の通常の貯水量は22%となるが、そのためには3940億リットルの雨が降る必要がある。
だが、コミテーは、今度の雨季の間に降る雨が2190億リットルで終わる確率が75%と見ている。この場合、15年5月1日時点での「未開の水域」を除いた貯水量はわずか4%となる。
カンピーナス総合大学(Unicamp)水道工学専門のアントニオ・カルロス・ズッフォ教授によると、「2014年のカンタレイラ水系の水位は5カ月間で20%減っており、22%の水だと次の乾季の間持つかどうかは難しい。水位が4%だと今年以上に危険で、37%でも決して楽観視出来ない」と警鐘を鳴らしている。
カンタレイラ水系の「未開の水域」は合計4000億リットルとされている。サンパウロ州水道公社では、「未開の水域」を放出しても水が足りなくなった場合は同水域からさらに1千億リットルの水を取水する意向だが、国家水資源庁(ANA)は、Sabespが5月に取水した量の5%にあたる91・25億リットル分は11月以降のために残しておくよう求めており、新しい取水に反対の意を表明している。
水不足による給水制限の必要を説く声は年頭から出ていたが、州は今年が選挙年ということもあり、制限に踏み切っていない。7日付エスタード紙によると、SABESPは給水制限を避けるため、「未開の水域」の水を汲み上げるポンプや、アウト・チエテやグアラピランガなど他水系の水をカンタレイラに分水させるなどの方策のため、既に1億6千万レアルが使われているという。