8日のサッカーW杯準決勝でのブラジル代表(セレソン)の歴史的大敗が、ジウマ大統領(労働者党・PT)や、対抗馬のアエシオ・ネーヴェス氏(社会民主党・PSDB)の選挙キャンペーンにどう影響するかが注目されていると、9、10日付伯字紙が報じている。
ドイツを相手に1―7で大敗するという、前代未聞の結果を受け、ジウマ大統領は8日の試合後、「私も多くのブラジル民と同様に悲しんでいる」との声明を発表した。
試合後、ネット上ではブラジル代表の歴史的敗戦をジウマ大統領と結びつけたものが出回り、「これで労働者党(PT)やジウマも終わりだ」との一般市民のコメントなども多く見受けられた。
今回のW杯は、インフラやスタジアムの建設の遅れなどもあり、開催前に国民やFIFAなどのあいだで強い懸念が示され、それが強い抗議運動につながる一因にもなっていた。
だが、いざ開催してみると、好カードや番狂わせ、新たなスター選手の登場などが重なり、国際的に高い注目を集めた。また、開催都市での外国人観光客のもてなしも好評で、「成功」と見る向きも多くなっていた。それに伴い、W杯開催期間中に行なわれた次期大統領選挙の世論調査でも、落ち込んできていたジウマ大統領の支持率が上向いていた。そういう状況にも後押しされ、大統領が13日の決勝戦の優勝杯授与を行なうことも発表されていた。
9日、ジウマ大統領は米国のニュース専門局CNNの取材を受け、今回の敗戦で「ショックを受けている」とする一方、「敗北を乗り越えることが強いセレソン、強い国のしるし」と語った。そして「ブラジル民のもてなしのうまさのおかげで、これまでのW杯でも成功した部類の大会にすることができた」と語った。
ジウマ陣営としては、この敗戦は「苦境を乗り切るための一里塚」で、ブラジル代表の敗戦は運営の成功とは別の次元のことと強調する見通しだ。
一方、野党の有力候補であるアエシオ・ネーヴェス氏(PSDB)やエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)も試合後にそれぞれ声明を出したが、敗戦を責めることはせず、「次の勝利に向けて前進だ」(アエシオ)「18年のロシア大会にはより強くなって戻ってくる」(カンポス)と語った。
野党側はセレソンが優勝せずにW杯が失敗に終わった方が政権交代には有利と見ていたが、既にW杯が運営上成功と見られていることもあり、敗戦を喜ぶような言動は自分たちの首を絞めると判断しての発言ではないかと、9日付フォーリャ紙は見ている。
だが、アエシオ陣営では、W杯の成功は「PTではなくブラジル民の手柄」とし、「工事をもっと事前に早くやっていれば、さらに良いW杯を行なうことができたはずだ」と強調すれば、W杯を選挙キャンペーンの際のジウマ大統領の攻撃材料に使うことは可能と見ている。
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