8日のサッカーW杯準決勝でのブラジル代表(セレソン)惨敗を受け、ジウマ大統領やアウド・レベロ・スポーツ相が、ブラジルのサッカー改革への意欲を見せている。11日付伯字紙が報じている。
「サッカー界の構造的近代化」は8日のセレソン惨敗の前からジウマ大統領や労働者党(PT)が思案していたテーマだが、今回の惨敗が選挙戦に影響することを避けるため、政府としてもこの問題を取り上げて行くことを決めたようだ。
ジウマ大統領は9日、米国のニュース局CNNの取材に対し、ブラジルサッカー界の大きな問題として「有能な選手の国外流出」をあげ、「スタジアムに客を集められるような選手が国内にいない状況がもう何年も続いている」と語った。これは、今回のW杯で建設したスタジアムの将来に関する質問を受けた際に行なった回答だった。
一方、レベロ・スポーツ相は10日、リオで行なわれた国際サッカー連盟(FIFA)とW杯現地運営委員会主催の記者会見で、セレソンの惨敗は「深刻な問題」で、ブラジルサッカー界には「変化が必要」であると強調し、変革のために政府が関与する方向を探っていることも明かした。
レベロ・スポーツ相は「ブラジル・サッカー連盟(CBF)内でも何かしらできることがあるはずだ」と語った。FIFAは各国政府が自国内のサッカー連盟に干渉することを禁じているが、レベロ・スポーツ相は「ペレ法によって国がCBFに対して何も言えない状況が出来上がり、CBFによるサッカーの私物化が進んだ」とし、「国が完全に切り離されるべきではない」との見解を示した。
同相は「あくまで間接的な関与だ」と主張し、その具体的な方策のひとつとして「スポーツ財政法」をあげた。これはオターヴィオ・レイテ下議(民主社会党・PSDB)が提唱した法案で、クラブ・チームの財政を国がバックアップすることで、選手に対する給与支払いの遅れの問題などを防ぐものだ。
さらにジウマ大統領が言及した有望な選手の国外流出に関しても、「まだ成長期の若さで国外に流出している。15歳の有望選手まで既に国外にいる状況だ」と語り、19歳までは国外に出ることを禁じる意向を示した。FIFAは18歳未満の選手が国外のクラブと契約するのを禁じているが、欧州のクラブは選手の家族と契約するなど抜け道を作って法を破り続けている。
一方、ジウマ大統領にとっての最大の対決候補のアエシオ・ネーヴェス氏は10日、エスピリトサント州で行なわれたイベントで、ジウマ大統領がW杯を政治的に利用していることやセレソン惨敗について訊かれた際、「抗議活動が起きたときはW杯のヴィジョンなどなかったくせに、成功したらセレソンの一員であるかのような態度までする。後で代償を払わなければならなくなるのは、本来国民のもののはずのイベントを私物化しようとする人だ」と語り、同大統領を批判した。
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