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6月の物価上昇やや低下=累計6・52%で上限超す=経済活動は益々減速か?

 地理統計院(IBGE)が8日、6月の拡大消費者物価指数(IPCA)は0・4%上昇し、5月の0・46%より少し減速したが、直近12カ月の累計は政府目標上限の6・52%を超えたと発表したと9日付伯字紙が報じた。
 昨年の6月は0・03%の上昇に止まったIPCAを押し上げた最大の要因はW杯に伴うホテル代や航空料金の値上りで、試合のある日のホテル代は25・33%も上昇した。また航空料金も21・95%上昇しており、6月のIPCA上昇率0・40%中、0・20%分はこの2項目が原因とされている。6月には調査項目の61・4%が値上りしたが、この数値は、5月の66・8%より小さくなり、上昇率が徐々に下がる可能性を示している。
 一方、食料品や飲料は0・11%値下がりし、今年上半期の累計は5・07%となった。この数字は昨年上半期の6・02%より小幅だが、6月の農産物価格は2・97%値下がりしており、値下がり傾向はいま少し続きそうだ。
 食料品以外に値下がりしたのは工業製品で、上半期の販売が10・2%減少した自動車業界では新車価格が6月に0・06%値下がりし、中古車価格も0・13%下がった。また、過剰在庫を抱える小売店が前倒しして在庫処分のプロモーションを行った事などで、テレビの値段はW杯開催期間中だというのに1・38%下落した。
 販売不振に伴う過剰な在庫や生産調整のための集団休暇、経済基本金利引き上げなどの要因は、経済活動が一段と減速化する傾向にある事を示しており、物価上昇を引き下げる方向の圧力となると見られている。
 ただし、経済活動の減速化によるインフレ抑制というマイナスの効果を打ち消しかねないのが7月に行われる一連の電気料金の調整だ。サンパウロ州では4日にエレトロパウロが平均18・66%の値上げを行っており、南大河州でも19日から23%値上りする。パラナ州では30%の値上げ申請が行われ、調整中だ。
 連邦政府としては経済活動が減速したままの状態でのインフレ昂進は避けたいところで、中銀は年間のインフレ率が政府目標上限を超える可能性は46%としているが、上半期の累積インフレは昨年同期の3・15%を上回る3・75%で、現政権では第1年目の3・87%に次ぐ高いものとなっている。市場では、電気料金値上げなどの影響で、下半期のIPCAは最低でも11月までは政府目標の上限を超えた状態が続くと見ている。