サンパウロ州市警が12日、計43人を対象とする州都第一コマンド(PCC)の一斉検挙を始め、大サンパウロ市圏で12日39人、14日にも1人の計40人の身柄を拘束した。残る3人の内2人は国外に逃亡して命令を出している事も分り、インターポール(国際警察)の協力も仰ぐと13、15、16日付伯字紙が報じた。
PCCは全伯22州並びにボリビアやパラグアイに勢力を伸ばしている犯罪組織で、麻薬密売で月800万レアル、賭博や会員からの貢物で200万レアルを稼ぎ出す。年商1億2千万レアルといえば国内でも1150番以内の大手企業並みの経済力で、最高幹部のマルコ・ウイリアンス・エルバス・カマッショことマルコラはルッソという新しいコードネームを使い、刑務所内からの文書などで今も組織を動かしている事も判明した。
マルコラが新しいコードネームを使っている事は、国外に逃亡中の幹部のファビアノ・アウヴェス・デ・ソウザことペカと、今回の一斉検挙で捕まったアマリウド・リベイロ・ダ・シウヴァことジュリオの通話盗聴で明らかになった。
警察は押収された文書などから、マルコラによる指令は家族や弁護士宛の手紙によっても行われている事も突き止めており、州検察と共に、司法当局にマルコラを隔離する特別更生策の適用を再申請する意向だ。
また、PCCの金の動きを国外から指示しているペカは、現在はパラグアイにいる事が判明。直属の部下のジュリオは国内に開設した銀行口座三つを使って組織の金を動かしており、司法当局が口座の凍結を命じた。
もう一人国外逃亡中とされているのは、PCC内に13ある管理運営組織の一つで、各メンバーから月額600レアルの月謝を徴収するグループの長のウイルソン・ジョゼ・リマ・デ・オリヴェイラことネノで、現在は米国にいるという。
PCCが扱う麻薬の大半はサンパウロ市東部シダーデ・チラデンテスで小分けした後に各地に運ばれているといい、組織の会合場所にもなっていた中古車販売店店主のマリヴァウド・マイア・ソウザことチオらも逮捕された。
今回の一斉検挙では家宅捜査などの令状も47件出ており、小銃や機関銃、拳銃などの武器や麻薬、高級車、現金、金の動きを記したDVDやペンドライブ、その他の文書が押収された。
今回の一斉検挙では、麻薬売買が行われる場所を通った警官が金を受け取って密売者を見逃したりした事などを示す文書も発見されており、サンパウロ州保安局が市警並びに軍警の監察局に警官の関与についての捜査を委ねる意向を表明している。