最近、本紙の中面で認知症を扱う記事が増えてきた。それだけ今このテーマが、高齢化が進む日本やコロニアで注目を浴びている証拠だろう。来月2日に治療家・伊藤悠生さんが三重県人会で「認知症予防」に関する講演会を行うが(7面詳報)、こちらもかなりの関心を呼びそうだ▼今年の4月、日本では認知症の男性が電車にはねられて死亡する事件が起きた。JRがその家族に対して起こした損害賠償請求を裁判所が認めたことで、「24時間監視なんて不可能」「閉じ込めておくしかない」と国内で物議をかもした。本人の病状が進行すると、家族の人生すらも一変させてしまう▼昨年12月、国際アルツハイマー病協会が世界における患者数は推定4400万人と発表した。今のペースだと2050年には1億3500万人に達する見込みという。厚労省によれば、日本における認知症患者数は約439万人、65歳以上の実に15%を占め、軽度認知障害も加えれば65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍という状況という。高齢化社会の到来を間近に控えるブラジルにとっても、対岸の火事ではない▼現在の医学は認知症にはお手上げで、最も多いアルツハイマー型は完治不可能と言われる。適度な運動や頭の体操、バランスの取れた食事で早期予防に取り組むことは、個々人の責務といってもよいかもしれない▼まだまだ認知症の認知度も低く、ましてその予防対策どころではない様子のブラジルだが、日本祭りの高齢者向けコーナーでは日・非日系で大いに賑わっていた。ある意味、コロニアが一足先にたって「ボケ防止」の旗振り役をしても良いのではーと考えた。(阿)