17日に発表された就労・失業者登録(Caged)によると、6月の雇用創出数(労働手帳に記載する正規雇用に限る)は2万5363にとどまり、6月の雇用創出としては1998年以降最低となった。前年同月比では84%減。また、今年6月までの累積の雇用創出数は58万8168と、こちらは2009年以降最低の数字だった。
市場の見方では6月、8万人の雇用が生まれると予想されていたが、それを大幅に下回る結果となった。この2万5368という数は、新規雇用数163万9407から解雇数161万4044を引いた数だ。
マヌエル・ディアス労働相は今年初め、年間140万から150万人の雇用創出を見込んでいたが、現在は年間100万人に下方修正した。「第1四半期は産業界で雇用創出が進んでいた。例えば自動車業界では(雇用創出数は)記録的で、その周期が続く兆しがあった」と言うものの、期待通りにはいかなかったようだ。
W杯の開催では期待されていたほどの雇用が生まれず、予想外の解雇が起きたことが指摘されている。商業界では大会中の試合日には店を閉めたことなどで、7070人が解雇された。「W杯中には消費も格段に落ちた」と同相は言う。
ファトール銀行のチーフエコノミスト、ジョゼ・ゴンサルヴェス氏は「経済の低速が労働市場にも現われてきた」と分析する。
6月に解雇が最も顕著だったのは製造・加工業界で、輸送用の梱包材料製造業5542人、金属加工業4161人、機械製造業3957人などが代表例だ。新規採用が最も多かったのは農業の4万818人で、季節労働者の雇用が引き上げたと考えられる。また、建設業での雇用は1万2401人減少した。
サンパウロ州の工業界では今年6月に1万6500人の雇用喪失を記録、6月としては2006年以降最悪となった。5月の雇用喪失は1万2500人だったが、それをさらに上回った。
なお、懸念すべきは労働市場だけではないと18日付フォーリャ紙が伝えている。中央銀行が発表した5月の経済活動指数(IBC‐Br)は前月比マイナス0・18%と今年に入って最も落ち込みが大きく、今年の国内総生産はわずか1%余りの成長で終わる見込み(昨年は2・5%)だ。(18日付エスタード紙、フォーリャ紙より)