南麻州ドウラードスの陸軍寄宿施設で8日、松田ルイ・ユタカ少将(二世、53)による親睦夕食会が行われ、現地日系団体役員と軍関係者ら16人が親交を深めた。会の冒頭に、ニオアキ基地に勤務する小野田エドアルド少尉(33、二世)が挨拶を行い、親戚である故小野田寛郎氏の生涯をまとめた本が、陸軍監修の出版物として来年発刊される予定だと明かした。(石川達也記者)
午後7時半に始まった親睦夕食会の冒頭、エドアルド少尉は小野田寛郎氏の又甥(甥の息子)にあたる事を自己紹介、経歴と出版に至った経緯を説明し、参加者から祝福の拍手が送られた。
きっかけは4月にドウラードス基地へ赴任してきた松田少将が、隊員名簿に「ONODA」の文字を偶然見つけたことだった。小野田寛郎氏についての本を士官予備校生時代に読み、感銘を受けていた松田少将は「もしや」と思い、エドアルド少尉に確認した。
エドアルド少尉は「急に声をかけられ、とても驚いた」と当時を振り返る。その出会いを機に、松田少将は「小野田寛郎氏は、日系人としても軍人としても尊敬に値する人物。彼の生き方を知ることはブラジル軍人にとって良い刺激になる」と思うようになり、陸軍監修出版物としての発刊を決めた。エドアルド少尉も「とても光栄なこと」と賛意を示した。
松田少将によれば、陸軍は毎年約5作の本を申請に応じて出版しており、8月にリオデジャネイロの審査会へ提出する申請書が認可されれば、来年中に出版される。審査は通る見込みという。出版の暁には士官学校を含む陸軍関係施設に配られる。
夕食会に参加したぺリス・ピメンタ予備大佐(57)は「日系社会の方と会食することは今までになかった」と話す。南麻州日伯文化連盟(小野享右会長)の城田ジョゼ副会長(54、二世)も、「今まで軍と関わりをもってこなかった」と語り、「日系社会を大切に思い、ブラジルとの絆を強くしてくれている」と今回の松田少将の呼びかけに感謝を述べた。
カンポ・グランデ在住の寛郎氏の甥、小野田昌郎さん(73、和歌山)は「自分自身に厳しい日本軍人らしい方だった」と叔父との思い出を語り、出版の働きかけを心から祝った。
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