教育者で作家など、多くの顔を持ち、サンパウロ州立カンピーナス大学哲学研究所の名誉教授でもあるルーベン・アウヴェス氏(80)が19日に多臓器不全で亡くなり、20日に火葬された。20、21日付エスタード紙などが報じた。
1933年9月にミナス・ジェライス州ボア・エスペランサで生まれたルーベン氏は、キリスト教長老派の牧師も務めた人物で、米国プリンストン神学校で神学の修士号と哲学の博士号を取得した。
ミナス州やカンピーナスの長老派神学校で教えた他、リオ・クラーロ大学哲学科学文学部やカンピーナス大学哲学研究所で教鞭をとり、1996年に同研究所の名誉教授となった。
ルーベン氏は神学者、精神分析家、社会学者、哲学者、文学者、教育家など多くの顔を持ち、児童文学や神学など、多くの分野で120冊を超える著書を書いている。その多くは、英、仏、伊、独、西語やルーマニア語にも訳されている。
1969年出版の著書『ダ・エスペランサ―人の希望の神学』は世界的に知られるようになった「開放の神学」の基となり、教会が社会的な活動にも関わる事を勧めた。その思想は生徒の生活に密接に関わる教育という考えにも反映され、生徒達が持つあく事のない好奇心に応えられる自由な教育方法に基づく壁のない学校建設を訴えた。
『ア・モルテ・エ・オ・モヘール(死と死ぬ事)』では「美と喜びへの希望がある限り我々は人でありうる」と説き、「常に死と語り、死から多くの事を学んだ」という。同氏は7月10日に肺炎を起こして入院加療中だったが、17日からは腎臓の機能も低下し多臓器不全となった。同氏の遺体はカンピーナス市議会での通夜の後、グアルーリョス市で火葬された。その灰は遺言通り、黄色いイペーの周りに撒かれる。
肺炎発症後、同氏名義のフェイスブックには祈りの課題や励ましのメッセージが数多く寄せられた。その一つは娘のラケル・アウヴェス氏のもので、「父の苦しむ姿を見るのは辛いが、苦しみをこのすばらしい父への愛と感謝に代えたい」と書いている。
ジウマ大統領は「ブラジルで最も尊敬された教育者の一人」と讃えており、カンピーナス大学元学長で言語学者のカルロス・ヴォット氏は「文学と大学の双方にとって大きな損失」と評している。