サンパウロ市東部イタケーラ地区で16日夜、乗り合いバスの中で胸の痛みを訴えた男性が私立病院前で下ろされたが、駐車場で倒れて助けを求めたのに1時間も放置されて死亡する事件が起き、警察が捜査を行っている。
19~22日付ブラジルメディアによれば死亡したのは警備員のネルソン・フランサさん(48)で、駐車場でのたうちまわって助けを求めること約1時間。病院からは職員が2人出てきたが、フランサさんが健康保険プラン加入者でなかったせいか、救助の手を差し伸べなかった。病院からの通報で駆けつけた消防の救急隊が救命措置後に市立病院に運んだが、到着時には既に事切れていた。
死因は現在解析中だが、同病院の通院者の一人がフランサさんの苦しむ様子を撮影しており、そのビデオを見た市警は「病院が救命義務を怠った事は明らか」とし、義務不履行が個人レベルのものか病院全体の問題か等を捜査する。
遺族側は私立病院を相手に裁判を起こし、数百万レアルの賠償金を請求する姿勢を見せており、サンパウロ州地方医師協議会も捜査に乗り出している。