グァタパラ農事文化体育協会(茂木常男会長)は19、20の両日、同中央会館で「移住地入植52周年祭並びに収穫祭」を行ない、二日間でのべ2千人弱の来場者で賑わった。式典や各出し物が披露された会館横の新設イベント会場は、昨年末に建設されたもので、資金源は移住地の〃地下資源〃泥炭だった。
茂木会長は「泥炭を売った収入で900平米の屋根付きイベント会場を建設できた。今後も移住地発展のため、地下資源を有効に活用したい」と、運営資金確保に明るい見通しを示した。
実は入植時の地層調査でこの泥炭層はすでに見つかっていたが、当時は関心を持つ業者がおらず、半世紀余り放って置かれていた。ここ数年、業者が再調査して地下3、4メートルほどに点在する泥炭に注目が集まるようになっていた。
元副会長で現在は財務を担当する新田築さんは、「昨年8月に200ヘクタール分の土地に含まれる泥炭地層の権利を売った。購入業者は工場も建設する予定で、今後生産を本格化させるのだろう。専門家ではないので詳しくは分からないが、今は掘り上げて乾燥させているところ。土壌改良や園芸用品などに使用されるようだ」と近況を話した。関係者は「モジなどサンパウロ市近郊で十分な量が採れなくなってきたのだろうか」と推測し、思いがけない余得を喜んでいる。
入植祭は初日午前10時から、モンブカ墓地の「拓魂」碑前で、恒例となるカトリック式の先没者慰霊法要が行なわれた。在サンパウロ日本国総領事館の飯田茂領事部長、JICAブラジル事務所の室澤智史所長、ウィルソン・ガスパリーニサンパウロ州議、グァタパラ市のサミール・レドンド市長、アドリアーナ・サルトリ教育長、日系団体の代表者らが順に焼香し、開拓先亡者を偲んだ。
文協元役員の林良雄さんは移住地の少子高齢化に、「埋葬者は200人を越えた。最近は特に増えてしまって」と不安を見せたが、「こうして開拓者に思いをはせる日を設けることに意義がある。参列者に感謝です」と話した。
会館内で行なわれた式典では飯田領事部長が「言語、スポーツなどの文化活動が多くの人材を輩出した。今後も開拓者精神を引き継いで」、室澤所長も「来る度に発展が伺える。JICAも協力を続けたい」と約束した。
販売ブースでは藤山美智江さん(21、三世)が活気あふれる様子で、「太鼓やヨサコイ仲間と楽しく手伝っています」と声を弾ませ、婦人部の菅原治美さん(54、茨城)も「日本の麹を使った味噌がお勧め。キャラクターのクッキーも人気」と喜んだ。来場者はれんこんや黒にんにく、山くらげといった名産品を手に帰路に着いた。