セルジッピ州アラカジュで19日午前2時頃に4階建ての建物崩壊事件が起き、建設作業員一家4人が生き埋めとなったが、34時間後に全員が救出された。生後11カ月の長男は救出後まもなく死亡したが、両親と長女の状態は安定しているという。
生き埋めとなったのは、ジョゼヴァウド・ダ・シウヴァさん(24)と妻のヴァニセ・デ・ジェズスさん(31)、長女のアネ・ガブリエレさん(8)、長男のイタロ・ミゲル君(11カ月)の4人だ。
4人が救出されたのは20日の正午過ぎ。午後0時5分の長女救出から15分間で夫、長男、妻も救出され、その度に消防士や報道関係者から歓声が上がったが、長男のイタロ君は、救急隊員の手に渡された時点で心臓マッサージを受けなければならない状態で、病院に搬送される間に亡くなった。
ジョゼヴァウドさんによると、建物が崩壊した時は眠っていたが、物音に気づいて目が覚め、どこかの梁が落ちたのかなと思った瞬間、建物全体が崩れ落ちたという。
1階部分にマットレスを敷いて眠っていたという一家は、瓦礫の中に生き埋めとなり、僅か2センチの隙間から入ってくる酸素だけで生き延びたという。
ジョゼヴァウドさんの横にはアネ・ガブリエラさん、ヴァニセさんの横にはイタロ君が眠っていたが、僅かな隙間しかなく、体の自由が利かないため、イタロ君がどんなにぐずってもヴァニセさんは母乳を飲ませる事さえ出来ない。ぐずつくイタロ君を傍らに眠る事も出来ない中、絶望感とのどの渇きが一家をさいなませ続けた。
背中に傷を負ったジョゼヴァウドさんは何とかして脱出出来ないかと骨を折ったが、出口はどこにも見つからなかった。救助隊が声をかけた時も、「水をくれなければ話せない」というのが精一杯だったという。
ジョゼヴァウドさんは4カ月前から工事現場で寝泊りしており、週末の楽しみは、金曜日に金を受け取りに来る家族と共に、土曜日にかけてのひと時を散歩したりして過ごす事だった。
事故が起きたのは奇しくも土曜日。金曜日にやってきた妻達と外食を済ませ、雨降りの中を工事現場に戻ってきた時、4階でコンクリートの塊が落ちる音を聞いた。妻は不安がったが、風のせいで乾ききっていないコンクリートが落ちたのだと考えて1階に降り、横になったという。
生き埋めになったと気づいた時からひたすら神に助けを乞い求めていたというジョゼヴァウドさんは、救助隊の声を聞いた途端、「外に出られる」と確信し、神に感謝したという。
21日に入院先の病院で消防士達の訪問を受けたジョゼヴァウドさんは「長男は逝ってしまったけど、あなた達には心から感謝している」と挨拶し、「これからも神に従うと約束した」「長男はもっと良い所へ行ったと信じている」と胸の内を明らかにした。
セルジッピ州の地方建築・工学・農業技師協議会(Crea―SE)によると、崩壊した建物は3階建てとして設計されたが、実際には4階建てになっており、工事の責任を負うはずの技師も契約上の問題で1年前に責任を放棄。現場監督がいないまま、工事が進められていたという。(21、22日付エスタード紙、フォーリャ紙、G1サイトなどより)