暴力的な抗議活動(マニフェスタソン)を行なう活動家への警察の取り締まりが強まる中、21日、リオ州のジャニラ・ロシャ州議員(社会主義自由党・PSOL)が、破壊行動などの容疑で起訴された女性弁護士とその家族の逃亡を援助する行動を取ったとして物議を醸している。23日付伯字紙が報じている。
リオでの抗議活動での破壊行為などを理由に州検察局から起訴された弁護士のエロイザ・サミー氏(45)が21日、養子のダヴィド・パイションさん(18)とその恋人のカミーラ・ナシメントさん(19)と共にリオ市内のウルグアイ総領事館に政治的保護(サミー氏以外の2人は不起訴)を求めた。だが、その申請は却下された。
総領事館のある建物の外では軍警がサミー氏を逮捕しようと待ち構えていたが、3人は午後6時過ぎにジャニラ州議員の公用車で駐車場から出たため、軍警からの逮捕を免れた。ジャニラ氏は同市南部のサンコンラドで3人を降ろした。
ジャニラ氏はこの件で、公用車を使用して逮捕状が出ている人物の逃亡を手伝ったとして、同州議会監査役のコムテ・ヴィッテンコート議員(社会大衆党・PPS)から事情説明を求められ、22日に会見を行なった。
ジャニラ氏はその席で「私は活動家の味方であり、一議員として彼らの権利を守る義務もある。彼らとは面識はなかったが、一議員として行動したのであり、これからも同じことをするだろう」と語った。また、逃亡しやすくしたのは「私ではなく、捕まえられなかった警察や州のせい」とし、公用車の利用に関しても「あの車は州議会議長のものでも州政府のものでもなく、州民のものだ」と主張した。
だが、市警犯罪対策課はジャニラ議員の行為は公務執行妨害に当たると判断して調書を作成。同調書は州議会と司法当局に送付される見込みだ。
昨年6月のサッカーのコンフェデレーションズ杯前から盛んになった抗議活動は国民からも支持を得ていたが、顔をマスクで隠して略奪行為や破壊行為を行なうブラック・ブロックスの参加が顕著になったこともあって国民からの支持率は下がり、警察も取り締まりを強めるようになっていた。
その傾向はW杯開催中に強まり、W杯の決勝前日の12日には、リオでの抗議活動の中心人物と目されているエリザ・クアドロス・ピント・サンジ(通称シニーニョ)容疑者らが逮捕された。
リオ市での抗議活動に関しては23人が破壊活動などを理由に検察から起訴されている(うち5人が逮捕)が、エロイザ氏はその中の1人で逃亡中と見なされている。
リオ警察は23人の告発にあたり、昨年6~8月に起きた抗議行動「オクパ・カブラル」や「オクパ・カマラ」の参加者は、リオ州石油労働者組合(シンジペトロRJ)やホームレス国際前線(FIST)といった団体から資金援助を受けて破壊行動を行なったとの調査報告も出している。