サンパウロ市セントロのサンタカーザ病院が22日、医薬品が不足し、適切な対応が出来ないとして救急外来の診察を停止。23日は手術や検査の予約もキャンセルされ、多くの市民が不安に陥っていると23日付伯字紙やサイトが報じた。
サンタカーザ病院は約400年前からカトリックの慈善精神に基づく医療活動を続けており、セントロの病院は1884年に建設された。連邦政府の統一医療保健システム(SUS)確立後はSUSに対応する民間病院として知られ、無料の医療活動が24時間行われている。100床を有するサンパウロ市セントロの救急外来受診者は1日約1万人で、約60件の手術を行う。サンパウロ市の救急医療施設(AMA)では受診出来ない眼科などもある。
ところが、SUSからの診療報酬と連邦、州、市政府からの支援金、寄付金だけでは必要経費が満たされず、銀行から受けた融資返済や税滞納なども含む負債額は約4億レアル。救急外来の対応停止騒ぎは2011年にも起き、連邦政府や州政府が支援増を約束したが、必要が満たされないまま赤字が拡大し、6月には既に手術のキャンセルなどが起きていた。
同病院の必要経費は月3400万レアルだが、公的機関からの入金は月2千万レアル。医薬品などの供給会社への未払い分が約5千万レアルに達したため、薬や注射器、ゴム手袋、絆創膏、注射器等の基本資材の供給も止まり、患者への対応が不可能となった。
病院側は保健省や州政府、市役所にも窮状を訴えてきたが状況は変わらず、22日に救急外来の対応を停止。入院患者や診察予約分の対応は続いているが、23日は急がない手術や予約分の検査がキャンセルされた。
保健省は12年以降の同病院への支払額は従来の倍以上で、今年の支払予定額3億300万レアルの約半分はSUS報酬分、残りは活動支援分と説明している。州政府もSOSサンタカーザ計画による125施設への特別支援金は今年だけで5億7100万レアルが組まれ、近年の倍になっていると弁明。サンパウロ市セントロの病院だけで1億6800万レアルの予定で、ここ2年間の支払額は3億4500万レアルに達するとしている。
近年は非営利の医療団体の運営危機が深刻化しており、税金滞納分や銀行への返済遅滞などを含む諸団体の負債総額は150億レアルに上るという。サンタカーザはサンパウロ市北部のサンルイス・ゴンザガ病院やペニテンシアリオ病院、大サンパウロ市圏のグアルーリョス総合病院などの運営管理にも関与しており、一日も早い問題解決が望まれている。