ブラジル赤十字社(CVB)が東日本大震災などの義捐金を被災地に送らず、同団体本部の元副会長の母親の経営する非政府系団体に横流ししたとの疑惑が判明した。25日付フォーリャ紙が報じている。
この疑惑は、スイスの赤十字本社からの依頼で監査にあたった、ロンドンに拠点を置くムーア・スティーヴンス社の発表で明らかになった。
それによると、リオにあるCVB本部からマラニョン州の非政府系団体のインスティチュート・ウマーヌス(IH)に対し、合計約181万2千レアルの不正入金があったことが確認された。
その内訳は、21万2千レアル分が11年3月に起きた日本の東日本大震災と同年に起きたアフリカのソマリアでの旱魃による食糧危機のための義捐金で、残りの160万レアルが2011年に900人の犠牲者を出したリオでの洪水被害のための義捐金だという。
さらに、52万3千レアル相当の金額の行き先が不明になっている。
IHの経営者は、CVB元副会長アンデルソン・マルセロ・ショウシノ氏の母親のアルジーラ・キリーノ・ダ・シウヴァ氏だ。監査企業の調査によると、IHは2010~12年にCVBから合計して1580万レアルの事由の不明な入金を得ていたという。
不正な入金作業の大半は、赤十字社マラニョン支部元支部長のカルメン・セーラ氏によるもので、同氏は当時のCVB会長だったヴァルミール・セーラ・ジュニオール氏の姉妹にあたる人物だ。
カルメン氏によると、CVBは当時、外部への負債を抱えていて銀行口座を使うことができず、マラニョン支部の口座を使っていたという。マラニョン支部はIHと業務契約を交わしたことがなく、支部の口座からの送金は誰かが同氏の暗証番号を使って行なったものだと主張している。だがIHとマラニョン支部は12年、それぞれのサイトの連絡先に全く同じ電話番号を記載していた。