経済政策の不振から、経済界ではジウマ大統領(労働者党・PT)の10月の大統領選での敗戦を予想したり、不信感を高める傾向が見受けられるようになっている。26日付伯字紙が報じている。
フォーリャ紙によると、国内外のコンサルタント企業が、最近の世論調査からジウマ大統領の10月の大統領選での当選確率を下げて来ているという。
ブラジルのMCM社は、今年3月にはジウマ氏と対抗勢力は互角と予想していたが、最新の予想では60%で対抗勢力が勝利すると予想している。また、日本の野村證券は6月の時点からアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)の勝利を予想しているが、7月はこの予想確率を60%から70%に上げている。
一方、「ジウマ勝利」を予想しているコンサルタント会社の中にも当選確率を下げているところもある。ブラジルのテンデンシアスはジウマ氏の当選確率を60%から55%に下げ、米国のユーラシア・グループも4月は70%としていた当選確率を60%に下げている。
また、スペインに本社を持ちブラジルでも大きく展開しているサンタンデール銀行が7月1日に月収1万レアルを超える顧客に対し、「世論調査でジウマ大統領の再選支持が上がるとブラジル経済が悪化する」という文書を送付していたことが問題視され、25日に「当行の意図を反映したものではなく、顧客にも迷惑をかけた」と謝罪した。
1日に送付された文書には「もしジウマ大統領の世論調査での支持率が安定するか上がりでもしたら、為替市場でのレアルの価値は下がり、金利が高い状況が継続、サンパウロ証券取引所(Bovespa)の株価も下がるだろう」とし、「このような状況に備え、より適切な投資のため、担当者とご相談ください」と締めている。こうした文書を大統領選の前に銀行が発行するのはきわめて異例のことだ。
PTのルイ・ファルコン党首は同行の謝罪後、「謝罪は受け付けるが、起こってしまったことは消せない」として遺憾の意を表明した。同銀行は2002年の選挙でルーラ氏の当選を予想した際にも、同社のニューヨークのアナリストが投資家にブラジルの持ち株を売るように薦めている。
一方、経済政策ではジウマ政権の焦りが見える現象が起きた。中央銀行が25日、諸銀行が中銀に収める供託金の50%(300億レアル相当)を融資などに利用することを認め、それ以外にも150億レアル、計450億レアルを市場に注入すると発表したのだ。これは主に中小銀行や中小企業への融資活性化を目的としている。
貨幣の市場注入は景気とともにインフレを刺激しかねない。中銀は24日にインフレ抑制継続のため経済基本金利(Selic)を当面は据え置くと発表したばかりだった。その翌日の貨幣注入は方針の矛盾といえるが、フォーリャ紙は「経済が振るわず景気後退も起きかねない中で高金利が続くことへの連邦政府の不満が反映されたのではないか」と見ている。
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