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一昨年の人身売買件数が顕著=若い有色女性がターゲットに=通報の重要性も呼びかけ

 法務省は28日、人身売買と奴隷労働に近い状態で働かされていた労働者に関する諸機関の数字を入れたレポート(国連の薬物犯罪事務所とともに作成)を発表した。調査対象となった機関の数字によれば、2012年はこの種の犯罪が多発したことが明らかになった。
 法務省、労働雇用省、外務省、保健省、社会開発省、女性政策局などの諸機関が持つ2012年のデータは皆、法務省に集められた。同年、連邦警察が発表した人身売買に関する調書の数は過去7年の平均の6倍。法務省によれば連邦道路警察の取締で、性的搾取ならびに奴隷労働の被害者が547人判明した。
 被害者の大半が黒人あるいはパルド(褐色)の若い女性だという。ジョゼ・エドアルド・カルドーゾ法相は記者会見で「告発件数が増加し、この種の犯罪での青少年の被害は減ったが、一般市民からの通報がもっと増える必要がある」とした上で、「(この種の犯罪に関しては)市民への意識付け(啓蒙)を進める必要がある。被害者やその家族には羞恥心があるため、被害に遭っても起きたことを説明しないことが多く、(市民からの通報がなければ)撲滅は不可能だ」とした。
 法相によれば、人身売買を行う犯罪集団についてはまだ詳細がわかっていないという。「理想からは程遠い状態。秘密裏に行われている違法行為は多く、警察もそれを把握できていない。しかし通報件数や情報量は増えた。今後も全ての関係機関の協力が必要」と締めくくった。
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 また、25日は北部のアマパー州ドゥカ・セーラのバスターミナルで黒人文化の価値尊重を訴える団体に所属する女性たちによる啓蒙キャンペーンが行われた。7月25日は「ラテンアメリカ・カリブ地域の黒人女性の日」だ。
 女性たちはアマパー州の州都マカパーからドゥカ・セーラ街道を通ってマザゴン方面に向かうバスの運転手に、この日について説明したパンフレットを手渡した。「ブラジル黒人女性会議」のクレウザ・シルバ代表によれば、運動の目的は黒人女性への偏見や差別に対する社会の関心を呼び覚ますことだという。
 「長年の活動で数々の成果を上げてきたけど、私達の戦いはまだ続く。でも残念ながら、肌の色によって抑圧されたり不当な扱いを受けたりするのは日常茶飯事。(今日のキャンペーンが)私達の活動を知ってもらう契機になれば」と話した。
 キャンペーンには他にも黒人女性院(Imena)など、ブラジル黒人女性の会(AMNB)傘下に入っている団体が協力した。このキャンペーンは2015年に予定されている、連邦直轄区での「国家黒人女性の行進」というイベントに向けた準備としての性格も兼ね備えている。(28日付G1サイト、25日付G1サイトより)