リオ市のグアナバラ湾で8月2~9日、ヨットの競技会〃アケセ・リオ(Aquece Rio)〃が開催され、7月28日からは会場周辺の船舶の航行制限やゴミの回収強化が始まったと28日付アジェンシア・ブラジルやエスタード紙が報じた。
アケセ・リオは、2016年8月5日に始まるリオ五輪の正式種目の一つであるヨット競技のテストイベント二つの内の一つで、34カ国から324人が参加する。
競技開始は3日で、グアナバラ湾の南側(湾の入り口~リオ-ニテロイ橋間)は3日~9日の午前11時~午後5時は、貨物船や漁船、観光船の航行が全面的に禁止される。リオ中心部とニテロイ、ゴヴェルナドール島、パケターを結ぶ旅客船は航行されるが、航路変更がある。ただし、所要時間は変わらない。
また、競技会の期間中に会場水域を横切って航行するという事が起きないよう、28日からは船舶の航行にも一定の制限が設けられている。
一方、グアナバラ湾といえば思い出されるのが水質汚濁の問題だ。同湾の環境問題を20年以上扱っている生物学者のマリオ・モスカテリ氏は、ブラジルオリンピック委員会(COB)やリオ市は「心底、赤面する事になる」と案じている。
モスカテリ氏は25日もゴヴェルナドール島に赴き、硫化水素ガスやメタンガスの臭いの中で、「グアナバラ湾に流れ込む55の川や水路の内50は生活排水などが垂れ流しにされ、下水溝と化している」「湾内は至る所に大小のゴミが漂っている」と語った。
グアナバラ湾の浄化はCOBの公約の一つで、ブラジルを代表する選手でメダル5個を保有するロベルト・シェイツ氏が公に批判した事もある。だが、COB会長でリオ五輪実行委員会長でもあるカルロス・アルトゥール・ヌズマン氏は22日、選手達は「2008年の北京大会会場を見た後では気にならない」と言っていると弁明した。
モスカテリ氏はこれに対し、「下に基準を合わせるのか」と批判。「自分が選手か選手の親だったら、A型肝炎などの予防接種をしないままでは水の中に入れない」とまで言い切った。
リオ五輪実行委員会は「今回の会場周辺は海水浴やヨット競技に適した水質」とした上、従来は3隻だったゴミ回収船を28日からは24隻に増やしたが、モスカテリ氏は「当局の担当者は、下水の海の中で競技する選手がどうやってマリナ・ダ・グロリアからゴールまで到着出来るか説明していない」と反論。「天気が良く、高波や強い風がガラクタを湾内に寄せ集めてくれればよいが」とした後、「五輪終了と同時にグアナバラの事は忘れられる」と呟いた。