30日までに国の抱える負債の返済を迫られたアルゼンチンが、返済期日の延長を求めており、南米共同市場(メルコスル)もこれをバックアップする構えだ。同国がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、ブラジル経済への影響も懸念されている。30日付伯字紙が報じている。
米国地裁は6月16日に、2012年に出した2件の債務返済命令に対するアルゼンチンのクリスチーナ大統領からの見直し要請を却下し、米国のNMLキャピタルやアレリウス・キャピタルなどに約13億米ドルを返済するよう命じる判決を下した。これらの債権者は「ホールドアウト」と呼ばれ、アルゼンチンが2005年と10年に、01年に起きたデフォルトの返済に関する債務再編計画に基づいて行なった交渉の際、再編に同意しなかった債権者だ。
この裁判を担当した米国地裁のトーマス・グリーザ判事は今年のはじめ、「ホールドアウトへの返済抜きでの他の債権者への返済を行なうことは認めない」との判決を下していた。この判決に従うと、アルゼンチンは全ての債権者に同時に返済しなくてはならないことになっていた。
クリスチーナ大統領は、2005年に前任で夫のネストル・キルチネル大統領時代に制定された「ルフォ条項」を適用させて危機を乗り切ろうとしている。その条項では「ホールドアウト債権者に対し、アルゼンチンは債務再編に応じた債権者より有利な条件は出せないとする」というものだった。これを適用させない場合、債務再編に応じた債権者が矛盾を主張し、より多くの債務の返済を求める事態が考えられるからだ。それらの総額は1200億米ドルに膨れる可能性がある。
だが同国の政府関係者は、この条項はアルゼンチンと債権者との間での合意であり、米国の裁判所には通用しないと見ている。そこでアルゼンチンの民間銀行は30日に渡米し、ホールドアウトに対する手付金として2億5千万ドルを支払って90日間の支払い猶予を求める意向だ。ホールドアウト側が合意すれば、グリーザ判事に債務再編に応じた債権者への支払を認める暫定命令を出してもらい、デフォルトを回避する目論見だ。
また、債務再編に応じた欧州の債権者も「アルゼンチンには猶予が必要」とし、米国地裁に90日の支払い延期を求めている。欧州の債権者はルフォ条項での条件をあきらめる意向だ。
一方、29日にベネズエラのカラカスで開催されたメルコスルの首脳会議は、アルゼンチンの債務返済を支援する方向で話がまとまった。ジウマ大統領は「南米諸国のみならず、国際経済に悪影響をもたらす可能性のある問題だ。一部の投資家が世界の安定を危機に陥れるようなことは受け入れがたい」と語った。
アルゼンチンがデフォルトを宣言するようなことになれば他国経済にも悪影響が及ぶ。今年の4月にはブラジル産の自動車の同国への販売額が前月比で約30%落ち、それがブラジル自動車産業での解雇などにもつながった。
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