国際通貨基金(IMF)が29日、ブラジルは新興国の中でも経済の脆弱さが懸念される国の一つとする報告書を発表し、ギド・マンテガ財相が反論したと29日付アジェンシア・ブラジルや30日付伯字紙が報じた。
IMFの報告書は経済的に発展している28カ国の経済状況について分析したもので、ブラジルの経常収支の赤字がかさんでいる事や、コモディティ価格の下落などの貿易上の問題長期化の影響を懸念。ブラジルは国際経済の変化による影響を受け易い国とも指摘された。
IMFが経済の脆弱さを判断する要因の一つは経常収支のバランスだ。経常収支は、貿易収支の他、旅行や通信、金融、情報などの国境を超えたサービスに関するサービス収支、国外投資や国境を超えた雇用による報酬などの所得収支、政府間の無償資金援助や国際機関への拠出金、出稼ぎ者の母国送金などの経常移転収支からなる。
6月までの12カ月間のブラジルの経常収支赤字額は国内総生産(GDP)の3・58%に相当する860億ドル。ブラジルの経常収支は赤字続きで、近年は生産活動のための外国直接投資によって相殺出来ないほど大きな赤字を計上したままだ。
また、ブラジルの輸出は工業製品が伸び悩み、コモディティに相当する品が中心となっているため、コモディティ価格の下落で貿易収支の黒字額が縮小気味だ。昨年はペトロブラスによる石油や派生品の輸入拡大が貿易収支の悪化に輪をかけた。
他方、08年の国際的な金融危機で起きた景気後退(リセッション)から脱却した後に起きた11年後半からの経済の減速化は、欧州経済危機の影響とされ、政府の経済スタッフも国際経済の悪化が経済の回復を遅らせていると発言していた。
社会民主党(PSDB)の大統領候補アエシオ・ネーヴェス氏は、IMFがブラジル経済は磐石とは言い難いとし、国際的な経済の動きによる影響を受け易い7カ国(ブラジルとロシア、トルコ、インドネシア、インド、アルゼンチン、南アフリカ)に数えたのは納得がいくと発言したが、この報告が政治的に利用されてはと考えたマンテガ財相は即座に反論を唱えた。
同相は、上半期の為替が9・4%のレアル高となった事やサンパウロ証券市場の指数も21・25%上がった事は、ブラジル経済が米国の量的緩和縮小による経済的な混乱の波を乗り切る事が出来る位強固な証拠と言明。外貨準備高も世界5位の3800億ドルで、国外での公私に渡る負債額(3300億ドル)を上回っているから、国外の資本が枯渇してもかなりの期間対応出来るとした。
ブラジル内では最近、年内にリセッションとなる可能性を指摘する声が出ているが、マンテガ財相はその可能性も否定した。
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