2010年制定の固形廃棄物法の適用期間が2日に終了したが、ゴミの埋立地(リッション)は未だに使用されており、ゴミの排出量も増えたと3日付エスタード紙などが報じた。
固形廃棄物法は再生資源ゴミや有機ゴミの再生利用や分別を進めると共に、再生利用出来ないゴミは公害発生を回避出来るよう工夫した衛生的な処理場(アテロ・サニタリオ)に捨てるよう命じている。同法では当初、埋立地は今年7月末までに全廃としていたが、期日延長後の8月2日の時点でも全廃は程遠く、2060年末までかかるとの数字が出ている。
埋立地は、ゴミが腐って出るショルーメと呼ばれる液体が土壌や地下水を汚染する事やゴミから出るメタンガスによる大気汚染、ゴキブリやネズミ、ハゲタカなどが病原菌を運んでくるなどの問題を抱えている。
また、埋立地のゴミから金目の物や食べられる物を探すゴミ回収者が病気や事故に直面する可能性もある。ペルナンブコ州では7月26日、ゴミ捨て場で拾った食品を食べた子供2人が死亡する事故が発生。リオ州ニテロイで10年に起きた、埋立地の上に造成された住宅地での土砂崩れと大爆発もその一例だ。
2013年のゴミ排出量は前年比4・1%増の20万9280トン/日で、米国、中国、欧州連合(EU)、日本に次ぐ世界5位。1人当たりのゴミも0・4%増の1・041キロとなった。全国5570市中、38%の2111市ではゴミの分別回収計画さえない。回収されずに川や水路、空き地などに捨てられたゴミは全体の約10%の2万トン/日に及ぶ。
ゴミの回収や分別は最優先課題となりにくく、サンパウロ市のように資金力のある都市ですら、再生資源ゴミの分別、再利用は不十分だ。サンパウロ市では最近出来た二つの再生資源ゴミ処理センターがフル操業しても完全処理には程遠く、埋立地全廃は20年後とされている。
また、大統領府から16キロの地点の埋立地エストゥルトゥラルには毎日、生ゴミ2700トンと建築資源ゴミ6千トンが持ち込まれ、1200人のゴミ回収者が働いている。連邦直轄区は5月に全てのゴミ回収者を12カ所の衛生的な処理場勤務に回し、埋立地閉鎖との意向を表明したが、新処理場の入札が遅れ、予定地にはテントが張られただけで、埋立地閉鎖には至っていない。
ブラジルで最も進んだゴミ処理施設は、かつての埋立地に建設され、一般家庭からのゴミ焼却による発電施設もあるサンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポの総合処理場で、2013年にエコ・シダーデ賞を受賞。ゴミ用コンテナが市内各地に置かれ、市民がゴミを分別して捨てる同州イツー市の試みも高く評価されている。