「ボン・ジア」――。安倍晋三首相は2日午前、そうサンパウロ市内ホテルで記者会見を始めた。「成長著しい中南米と日本は深い友情を育んできた」と語り、チリにおける最大の投資国は日本であることを強調した。さらに「180万人の日系人がおり、日本と中南米を結ぶ大きな懸け橋となっている。今回たくさんの日系人にも会うことができた。苦難の歴史を乗り越え、今や経済、科学、政治などあらゆる分野で活躍されている姿に、身の引き締まる思いがする」と述べた。
「ブラジルにはジャポネス・ガランチード、信頼できる日本人という言葉がある。この言葉こそ、中南米を新たな故郷だと思い定め、その発展のために身を尽くしてきた、日本人とその子孫たちの百年以上にわたる、汗と涙の結晶に他なりません。日本と中南米との歴史的な絆を、更なる高みへと発展させていく、今回の訪問は日本と中南米との戦略的なパートナーシップの新たな夜明けとなった」との考えを披露した。
今回訪問した5カ国に関し、自由民主主義や基本的人権、法の支配といった価値を共有し、国際社会で影響力を高めている中南米は、私の〃地球儀を俯瞰する外交〃において欠かすことのできないパートナーです」と位置づけた。
「6億人の人口と豊富な資源を持つ中南米が大きく成長している姿を目の当たりにした。日本にはそのニーズにこたえる技術がある。日本とこの地域は経済成長のパートナーである」とした。
「ブラジルではサンパウロの地下鉄工事を日本の企業が受注した」とトップセールスの手ごたえを報告し、「世界でもトップクラスのシェアを持つ広島や新潟、埼玉や東京の物作り中堅・中小企業にも参加いただいた。地域で頑張っている中堅・中小企業の活躍の舞台を世界へと広げる、それをこれからも支援していきたい」と強調した。
ヴァロール紙記者からのメルコスルとの経済連携に関する質問に対し、「中南米には180万人の日系人が生活している。日系人が培ってきたそれぞれの国や日本との信頼関係を土台として、ともに発展・啓発していくことができると確信している」などと答え、「日本経済における中南米の重要性が増大しており、もっと大きくなっていくと思っている。連携をこれまで以上に強める必要ある。日本とブラジルとの自由貿易協定に関しては突っ込んだ議論がされている。創造力のある提言を期待している」との思いを語り、「日本と中南米との新しい歴史が始まったと思っている」と締めくくった。
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