2日夜、サンパウロ州内陸部マリリアに近い州道を走っていたナタナエル・ヌーネスさんは、背中にケガをして血で汚れアリなどの刺し傷だらけの1歳4カ月の男児(ミゲル・カマルゴ君)が歩いているのを見つけた。
はだしでシャツも着ていないミゲル君が夜の高速道を一人で歩いているという光景に驚いたヌーネスさんは、男児のいた辺りを目視した後、ライトも向けてみたが、辺りには人影もなく、何の反応もない。
ヌーネスさんは取り急ぎ、アウヴァロ・デ・カルヴァーリョの町の警察にミゲル君を連れて行った。警察は児童相談所に連絡後、ジュースを飲ませ、隣のガルサ市の病院に連れて行ったが、この時は誰も、ミゲル君がなぜケガをし、夜道を歩いていたのかを理解出来ず、児童相談員も、親に捨てられたか虐待されたのではと推測していた。
だが、ミゲル君が病院に連れて行かれてから約1時間半後、警察にミゲル君が見つかった場所に程近いところで事故があり、被害者が息子を探しているとの通報が入り、その謎が晴れ始めた。
事故を起こしたのは、ミゲル君の父親のアンデルソン・ジアスさん。夜8時頃、オムツなどを買いに行った帰りにハンドルを取り損なって車ごと土手を転がり落ちたジアスさんは、体の一部が車体にはさまれたままの常態で気を失った。
チャイルドシートごと車外に放り出されたミゲル君はこの間にチャイルドシートから離れ、約10メートルの土手を登った後、州道を約150~200メートル歩いたところでヌーネスさんに救出された事になる。
一方、正気に戻ったアンデルソンさんは、何とかして車外に出ると必死になってミゲル君を探したが見つからない。息子が見つからず、絶望状態になっていたアンデルソンさんは、駆けつけた警官からミゲル君は無事に保護されて病院で手当を受けたと聞き、安堵の色を見せたという。
ミゲル君がチャイルドシートから出る事が出来た方法や、どうやって10メートルもの土手を登り、事故にも遭わずに路肩を歩いていけたのかは今も謎だ。ミゲル君は当初、事故のショックや父親が見つからず、一人で夜道を歩くという恐怖を味わったせいか、ショック症状を起こして泣く事すら出来ずにいた。
何も話せず、泣く事さえ出来なかったミゲル君が泣いたのは、父親の救出に向かった救急隊員達と共に現場に着いた時だ。同行した医師はミゲル君が泣くのを聞いてほっとしたという。
ミゲル君の母親のミザエル・カマルゴさんは自宅におり、数時間後になって初めて、事故の事を知らされたという。(5日付エスタード紙、フォーリャ紙より)
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