リオ州治安研究所(ISP)が6日、上半期に犯罪事件への介入時に警官が殺した人の数は285人で、昨年同期より42・5%増えたと発表したと7日付エスタード紙が報じた。
犯罪者と対峙または追跡中に抵抗を受けた警官が相手を射殺したりした例は、アウトス・デ・レジステンシア(autos de resistencia、以下AR)と呼ばれ、通常の殺人件数とは別に集計されている。
同州でのARは2008年12月にボタフォゴ地区サンタマルタの丘への治安維持警察部隊(UPP)設置以降、減少傾向にあった。同年のARは757人(警官の死者10人、以下同)で、その後は、561人(23人)、505人(8人)、372人(5人)、214人(9人)、200人(6人)と5年連続で減少していたが、今年は285人(10人)に増えた。
リオ連邦大学のイナシオ・カノ教授は、6月11日に起きた軍警2人に捕まった14歳の少年殺害などを挙げ、警官が犯罪者との抗争という名を借りて抵抗もしていない人物を殺害する事件が増える前兆との懸念を表明。先の事件は、一緒に捕まって撃たれたが死んだふりをして助かった少年が一部始終を語った。
マリアノ・ベウトラメ州保安局長は、UPP設置で追いやられた犯罪組織が、治安政策を覆し、かつての支配地を取り戻そうとしている証拠と考えており、「暴力事件が増えればARも増加しうる」が「警官介入によるARの減少は全体としての殺人事件減少への方策の一つ」としている。
保安局長の見解に関連する報道としては、4日付フォーリャ紙や5日付エスタード紙が報じたアレモン/ペーニャ地区での銃撃戦や犯罪増加が挙げられる。同地区はコマンド・ベルメーリョ(CV)が支配していたが2010年11月に制圧され、2012年4月のUPP設置まで軍兵1800人が駐留。常時1200人が巡回などを行い、治安を確保していた。
だが、UPP設置後は毎日の巡回などに携わる人数が350人(軍警総数は1400人だが1日勤務で3日休暇という体制)に激減。15歳前後の少年による麻薬取引などが増え、通報を受けて出動した警官への射撃事件なども起きている。現在のUPP軍警による巡回は一部地域に限られ、7月は毎日1回は銃撃戦が起きるなど、治安が悪化し、市民の中に不安が広がってきている。
市警は今月、機関銃と拳銃購入費に各3万レアル、6月8日にCVに19万4千レアルを送金といったメモを入手。7月24日には麻薬密売者に火器や弾薬が届けられたとの通報も入っており、10年の制圧時や軍駐留時の司令官達も同地区の今後を案じている。