サンパウロ市イタケーラ区カルモ公園でブラジル桜イペー連盟が開催した『第36回桜祭り』に2日午前、安倍昭恵首相夫人が参加した。駐ブラジル日本国特命全権大使夫人の梅田恵子さんらと共に、移民百周年時記念モニュメント「夢と感謝(SONHO E GRATIDAO)」を見学し、満開の桜並木を歩いた。来場者らは我先にとシャッターを切り、「品のよい方」「感じの良い人」と口々に好印象を語った。矢野ペードロ連盟会長は「普段はお近づきになれない方なのでとにかく感動的。総理夫人だけあって輝きがあった」と語った。
午前10時半過ぎ、物々しく白バイに先導されながら昭恵夫人の乗った車がモニュメント前に到着した。ベージュのスカートスーツで登場した夫人は、モニュメント設置委員会の会長を務めた野村アウレリオサンパウロ市議やペドロ・ジョアン施設長、連盟役員らに迎えられ、制作者の絹谷幸太さんの案内で見学した。
途中、絹谷さんに手を引かれ、人の背丈ほどもある花崗岩の半円状モニュメントによじ登るという予定外の行動も。領事館関係者も「これはサプライズ」と目を丸くし、矢野会長も「結構高い所なので、私でも上ったことがないのに」と驚いていた。
桜の苗木を植樹後は、春のような暖かい日差しが注ぐ中、小坂誠書記の案内で満開の雪割り桜並木を歩いた。雪割桜は高知県から取り寄せたもの。敷地内には4千本の桜と600本のイペーが植わっており、桜祭りはグローボTV局などでも季節ネタのニュースとして毎年流され、延べ1万人以上でにぎわう。
昭恵夫人はまぶしそうに桜の花々を眺めつつ、木の下にシートを敷いてのんびり花見をするブラジル人家族の姿に、「こういう習慣は元々あったんですか」などと質問していた。案内後、小坂さんは「『きれいな桜が咲きましたね』とほめてくださった」と話した。
記帳後、舞台であいさつを行った昭恵夫人は、「日系人の皆さんのご活躍で、ブラジルと日本は大変よい関係が保たれている。日本人の一人として心より感謝する。主人が来たのを機に、一層両国の関係が深まってほしい」などと話し、大きな拍手を浴びた。
最後は連盟婦人部らが踊る「おそ松くん音頭」(同名の日本アニメの主題歌)にあわせて退場。舞台前の広場で梅田夫人と共に輪に入って踊る姿に、人だかりとなった会場はさらに沸いた。最後は来場者に囲まれ、惜しまれながら車に乗り込んだ。見送った来場者は「涙をこぼしていたわ。嬉しかったのね」と話していた。
マリエ・イネスさん(45)は「繊細で感じのよい、桜の花のような人。危険な国だといわれているブラジルで、こんなにも市民に近づき、私たちに感謝までしてくれた」と感激した様子で語った。