サンパウロ市が導入した麻薬常習者達の更生プロジェクトの「ブラッソス・アベルトス」参加者16人に、社会復帰への第一歩としての労働手帳が手渡された。
同市市役所で5日に行われたセレモニーには、フェルナンド・ハダジ市長や保健局その他の関係部署の担当者も参加。クラコランジアの元住民で麻薬常習者だったが「ブラッソス・アベルトス」に参加、社会福祉士や医療関係者などの指導の下で麻薬使用量も減らし、市営の保健医療関係施設の清掃などを請け負うギマ・コンセコ社の作業などを行なっていた16人に、同社社員として正式に登録された事を示す労働手帳が手渡された。
ハダジ市長は、「我々はここにいる皆さんの身体能力や精神力、意欲などを回復するためのプログラムを導入し、少しずつそれを展開してきた。皆さんはそのプログラムに適応し、ここまでやってきた。何年も、いや何十年も麻薬に浸かりきっていた人達が6カ月で正式雇用に至ったという事は、『ブラッソス・アベルトス』を通した取り組みの中でも特記すべき事だと思う。皆さんは、このプログラムの参加者が自分達も同じ幸いを経験出来るはずだという希望を保ち、習うべき良き模範だ」と述べた。
このプログラムの最初からの参加者は40人で、指導や助言などに当たってきた社会福祉士らによる評価で社会復帰が出来る段階に達したと判断されたのは18人。全員と面接したところ、2人は自分からまだ早いと言って来たため、もう少し時間をかけて社会復帰を目指す事になったが、16人は次のステップに進む事になった。
労働手帳を受け取ったグループの一人であるアレニウド・カヴァウカンチさんは、「周りの人達は皆、俺達には未来はない、扱いようがなく解決方法もないと批判するばかりだったが、ハダジ市長は、気力さえ湧かない環境にいた俺達に力添えしてやろうと考えてくれた」「市長が俺達を信頼し、こういった道を開いてくれたから俺達はここにこうして立っている」と挨拶。ウエルトン・アキノ・デ・オリヴェイラさんも、「俺と家内はこのプロジェクトに参加したおかげで、俺の息子と家内の連れ子で生後5カ月から面倒を見てきた娘達により良い将来を手に入れる気になり、麻薬浸りの生活から抜け出せた」と謝辞を述べた。
16人は6日から正式にギマ・コンセコ社社員として勤務し始めたが、近日中にリベルダーデ区かパリー区にあるホテルに移動。保健関係者や社会福祉士らのケアを続けて受けながら次のステップの「アウトノミア・エン・フォコ」と呼ばれるプログラムに参加する事になる。(5日付フォトス・プブリコス、6日付エスタード紙などより)