2007~13年に創出された雇用のおよそ半分が、未熟練者でも可能な給与の低い仕事であり、それとは対照的に中間管理職の数が大きく削減されていることがわかった。そうした事実が現在のブラジルの生産性の低下や経済低成長につながっているのではと10~11日付伯字紙が報じている。
10日付フォーリャ紙は、労働省が発表してきた資料をもとに2007年から13年の6年間のうちに創出された雇用の内訳の分析を行なった。その結果、その間に創出された936万6626件の雇用のうち、半数にあたる464万8611件は、特殊技能を必要としない10種の職業であることが判明した。
その10種は、多い順に建設作業員、生産ライン従事者、事務職、清掃作業員、販売員、経営部門の助手、梱包作業員、受付、警備員、運転手助手で、経営部門の助手以外の初任給はブラジル全体の平均給与1104・12レアル以下だ(経営部門助手は1131・06レアル)。雇用創出全体の10%にあたる92万1082人が従事している建設作業員の初任給は818・36レアルだ。
これらの職種への就業は、これまで労働手帳を持てなかった人たちに正規雇用の道を開き、失業率の低下や社会格差を縮めるのに貢献したと見ることはできる。
その一方、中間管理職の解雇が多く行なわれていることも明らかとなっている。今回の調査によると、企業の管理職は8万9405件の雇用が減少したほか、商店やスーパーの主任が5万417件、販売部門の監督は3万1678件など、72種の中間管理職の雇用は25万件減った。現在の企業は中間管理職を減らし、マーケッティングや市場調査のためのアナリストや助手を雇う傾向を強めている。それは企業の効率化や技術の進化に伴うものだという。
だが、中間管理職の削減は仕事の経験値を持った人材を減らし、それが企業の生産性を落とすことにも繋がる。建築ブームで人手が足りず、経験の浅い人も監督を務めたりしていた建築現場では「近年は主任クラスがかつてない給料を手にするようになったが、大半は未熟なため、現場で種々の問題を引き起こしている」と建設会社セチン会長のアントニオ・セチン氏も語っている。
また、その一方、農業では07~13年に雇用が15万7千件落ちている。これは技術の進化や機械化で少ない作業員で作業が済むようになったことや、砂糖やエタノール産業の危機が主な理由だと言われている。
ここ数年、経済低成長が叫ばれる中、雇用は安定していると言われているが、気がかりな話も耳に入ってきている。ひとつは、「一時解雇」を意味するレイオフが、今年1~7月の工業部門で約1万2千件起き、世界的経済危機勃発直後だった2009年の同時期に約2万件を記録して以来の数になったことだ。
11日付エスタード紙によると、経済の減速による解雇は商業においても増えており、上半期の解雇者は新規採用を8万3600件上回った。