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もくもくシュラスコ、どきどきベイジョ

 休日は家族や友人と過ごすことが多いブラジル。週末が近づくにつれて、いつも私が通っているスーパーマーケットも休日仕様になり、シュハスコ(ブラジルスタイルのバーベキュー)用の肉、ジュースやビールが山積みになります。そして土曜日を迎えると、至る所からシュハスコの煙と肉の焼ける美味しそうな香りが漂って来ます。
 そして週末のシュハスコには、家族のみならず親戚や友人知人を招くことも多く、またお誕生日会などの際もシュハスコでおもてなし。私も何度かブラジルスタイルのシュハスコにお招き頂いたことがあります。友人が開催するシュハスコに行くと、集まっているご家族や友人を紹介してくれます。みな家族仲良しで、両親、祖父母、兄弟姉妹、友人のみならず、叔父叔母、義理の兄弟、姪甥、いとこ、はとこ、さらにその恋人達まで色んな人を紹介されます。もう、メモを取りたいくらいです!
 そしてそんな時、日本人かつもともと人見知りの私が戸惑ってしまうのは、最初の挨拶。「Muito prazer. Sou Kanae.(はじめまして。香苗です。)」と挨拶をしながら、ほっぺとほっぺを合わせて、チュッとするのです。ブラジルの人々は子どもの頃から当たり前にやっていることなので、見ていてもとても自然なのですが、私にとってはかなり難易度の高い習慣です。なんだかぎこちなくなってしまうのと、初対面の人との距離感がずいぶん近い様な気がしてどぎまぎしてしまいます。
 ちなみにこの距離感、地域によっても違いがあるそうなんです。サンパウロでは「ほっぺとほっぺを合わせてチュッ」を片方だけ1回。もっと開放的なリオデジャネイロでは片方だけでなくもう片方も、両側合わせて2回するんだそうです。

我が家のシュハスケイラ

我が家のシュハスケイラ

 最初に一通りみなさんと挨拶をして一段落するも、新たに誰かが到着する度にブラジル流はじめましての挨拶があります。そして、帰り際も再び全員とブラジル流さようならの挨拶。私はずっとどきどきです。でも、このブラジル流挨拶とみんなで楽しむシュハスコのお陰で、初対面でもすぐ仲良くなれる気がします。美味しいだけでなく、そんなところもシュハスコの魅力。
 我が家のベランダにもあるシュハスケイラ(シュハスコをする所)。ずっと挑戦してみたいと思いながらまだ一度も使えていませんが、いつかブラジルの友人をお招きして、このシュハスケイラでシュハスコをするのがブラジルでの密かな目標です。

 

プロフィール

竹内 香苗(たけうち かなえ)。愛知県出身のフリーアナウンサー。約10年間過ごしたTBSでは『はなまるマーケット』『朝ズバッ!』などに出演。夫のブラジル赴任に伴い12年に同局を退社し、ホリプロに所属。同年11月よりサンパウロ市に滞在している。