「これで決選投票が決まった」―13日晩、エドゥアルド・カンポス大統領候補の事故死を報じるニュースに出た識者の数人が、そうコメントした。そこにはマリナ・シウヴァが代わりの候補になるという前提があるようだ▼マリナは4年前の大統領選で、「一次投票でほぼ当確」と言われていたジウマを決選投票に追い込んだ張本人だ。10年9月初めのIBOPE調査でジウマは51%、ジョゼ・セーラは27%、マリナはわずか8%だった。それが10月頭の投票直前、マリナは16%という奇跡的な支持率上昇を果たし、ジウマを苦しめた▼前回選挙の結果、マリナはなんと19%も得票。奇跡的な支持率急上昇は、元々カリスマ性の高かった彼女を更に神秘的候補として印象付けた。そんなマリナが、若きカンポスの劇的な事故死が残した強い印象を引き継いで大統領候補に昇格すれば、さらにその存在が引き立ち、大得票を集める可能性がある。選挙の筋書きはガラリと変わった▼カンポスの訃報でサンパウロ市証券市場は1・5%下落に見舞われた。環境保全を強く主張するマリナは〃産業開発の敵〃という印象が強いからだろうか▼マリナが副大統領候補になったのは、自党立ち上げが遅れて知名度が劣るカンポスと組むしか出馬の選択肢がなかったからだ。誰もが想像しなかったカンポス死去でマリナが再び候補になる可能性があるとは、なんと劇的な展開か。訃報を聞いたジウマは4年前の決選投票の悪夢を思い出しただろう▼死後10日以内にカンポスの代理が発表される。でも19日に政見放送が始まるから、それ以前に前倒し発表―との予測もある。今週末が駆け引きの山場だ。(深)