ジェネラル・モータース(GM)のメアリー・バーラ社長兼最高財務責任者が14日にブラジルを初訪問し、ジウマ大統領に5年間で65億レアルという大型投資を行う意向を伝えた。
5年間で65億レアルという投資額はブラジル向けの投資としては史上最高の額となるが、今年1月に社長に就任したメアリー氏によれば、14~18年に行う投資は10月の統一選挙で政権が変わっても変更される事はないという。2009~2013年のブラジルへの投資額は57億レアルだった。
記者会見でのメアリー氏は、「ブラジルはわが社とは90年以上の関係を持つとても重要な市場だ。私達はこの例外的な市場への長期的な展望を持っており、それが故にここにいる」と語った。2012~18年のスパンで見た場合、複数の工場建設も含め、総額758億レアルに上る投資計画があるという。
今回の投資計画の発表は、ブラジル国内での自動車生産や自動車販売が落ち込み、GM自身もサンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポスにある工場の従業員1千人のレイオフ(業績低下などを理由とする一時解雇)の交渉中という厳しい状況下で行われたため、会見会場から、ラ米地区での従業員解雇の可能性についての質問が出た際は、無言となったという。
投資内容の詳しい内訳などは発表されなかったが、同社長は「新製品、新技術、効率や燃費のよさを追求するためと、施設のメンテナンスのための投資」と位置付けた。
期待されるプロジェクトの一つは、サンジョゼ工場で生産中のセルタやプリズマに代わるコンパクトタイプのニューファミリー開発で、25億レアルが投入される見込みだ。この車種には軽量商用車両(SUV)も含まれると見られている。
南米GM社のジャイメ・アルジラ社長は「この投資で技術と品質に焦点を当てた製品開発の継続が可能となる」とした上で、「ブラジルで生産する製品では国内で生産した部品の比率も向上させる」と発言した。ブラジルGM社のサンチアゴ・シャモロ社長も同件に関し、最近、「部品の国産化のために10億レアルの資金が用意されている」と発言していた。
一方、サンジョゼの金属労組は14日、2013年7月15日に取り交わされた、新しいモデルの生産のために同工場に25億レアルを投資し、2500人分の雇用創出という約束を果たすよう要求するとの意向を表明した。
GM社はここ何年も、労組側にバンコ・デ・オーラス(残業手当を出さない代わり、残業分は別の日に早退や遅めの出勤という形で相殺する事を認めるシステム)やレイオフ導入を提案して労働条件に柔軟性を持たせようとしてきたが、現在は交渉中の計画が受け入れられた場合にはレイオフ後の解雇もありうると言い始めている。
サンジョゼ以外のGM社の工場は、サンカエタノとモジ・ダス・クルーゼス(サンパウロ州)、グラヴァタイ(リオ・グランデ・ド・スル)、ジョインヴィーレ(サンタカタリーナ州)の4カ所にある。(15日付エスタード紙より)