ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)が13日、7月の経済情勢指標(ICE)は55ポイント(以下、P)で、1991年1月以来の低水準となったと発表と14日付伯字紙が報じた。
ICEは現在の経済の動向とインフレ、公共部門の基礎的財政収支、貿易収支などを基に、経済の現状と将来の見通しの2項目について分析したもので、政治家や政党とは関係を持たない金融機関や中央銀行の専門家が算定する。この指標が100P以上の時の経済は成長基調で信頼感も高いが、100Pを切ると停滞か後退予測といえる。
ブラジルのICEは4月の71Pから55Pに低下し、ラ米ではベネズエラの20Pに次ぐ小さい指標となった。2度目のモネタリア状態となったアルゼンチンは57Pで、ブラジルより数字が良い。
55Pという数字は、1990年にコーロル政権が行ったポウパンサ凍結などで市場に先行き不安感などが広がっていた1991年1月の54Pに次ぐものだ。
ICEの低下には、中銀が毎週行うフォーカスと呼ばれる経済動向調査で今年の国内総生産(GDP)の成長予想が0・81%に下方修正された事なども反映され、現況に対する評価は4月時点の68から42に低下した。ここ10年間の現況に対する指標は平均121Pだから、現在の市場にはジウマ大統領が批判する悲観主義がはびこっている事が窺われる。
今後6カ月間の動向に関する将来に対する指標は、貿易収支の悪化やインフレが昂進する可能性などを反映して74Pから68Pに低下。この指標も過去10年間の平均は113Pだから、悲観的な見方が強まった。
世界全体のICEは、米国経済の回復(125Pから132Pに上昇)や中国経済の成長(減速化してもICEは88Pから102Pに向上)などを反映して3%向上したが、ブラジルのICEは22・5%低下。ラ米のICEはブラジルと亜国(75から57Pに低下)の悪化が響き、4月より7%低い84Pとなった。ラ米の指標でブラジルの占める比率は23%。亜国、チリ、ベネズエラは7%でメキシコは35%だ。
なお、15日発表の中銀の経済活動指数(IBC‐Br)によると、第2四半期のGDPは第1四半期比1・2%、昨年同期比では1・54%のマイナス成長となり、国際的な金融危機勃発後の2009年第1四半期のマイナス2・67%に次ぐ大きな落ち込みを記録した。同指数は第1四半期も0・03%低下しており、ブラジルは理論上の景気後退(リセッション)に入ったといえる。
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