13日に飛行機事故で急死した大統領候補のエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)の通夜・葬儀が同氏の膝元のペルナンブッコ州レシフェで17日に行なわれ、ブラジル政界の要人をはじめ、10万人をはるかに超える大勢の人たちがつめかけ、一大社会現象となった。18日付伯字紙が報じている。
カンポス氏の祖父で同じくペルナンブッコ州で強い影響力を誇る知事だったミゲル・アラエス氏が2005年、カンポス氏と同じ8月13日に亡くなった際は8万人が通夜・葬儀に参加した。
だが、今回のカンポス氏の葬儀はその規模をはるかに上回った。一般公開通夜と野外ミサが行なわれたレシフェのカンポ・ダス・プリンセーザス宮殿の周囲は巨大な群衆で覆われた。エスタード紙によると、通夜に3万人、ミサに10万人、その後の埋葬に3万人がつめかけた。フォーリャ紙は沿道で棺に同行したり見送ったりした人は13万人と報じ、G1サイトは、通夜から埋葬までの参列者は総計16万人と報じている。
今回の通夜・葬式は選挙まで2カ月を切るタイミングということもあって、政治色の濃い、PSB支持者にとって大きな興奮に包まれたものとなった。PSB関係者は、カンポス氏が死の前日に出演したグローボ局のニュース番組「ジョルナル・ナシオナル」で最後に発した「ブラジルを諦めない」を新しいスローガンにすべく、その言葉が書かれた黄色や黒のTシャツを身にまとって参加した。また、この言葉はカンポス氏の棺を乗せて運んだ消防トラックの側面にも記された。
会場では、大統領候補に昇格すると見られるマリーナ・シウヴァ氏と、カンポス氏夫人のレナタ氏の名前が頻繁に叫ばれた。これは、新たな副候補に党内で影響力を持つレナタ氏を望んでいることをも意味していた。
群集は折に触れて「エドゥアルドはブラジル民衆のための戦士だ」と叫んでおり、カンポス氏の政治的後継者とされる長男のジョアン氏(20)が棺の傍らでこぶしを振りあげて群集を煽る姿も見られた。
この式にはカンポス氏と大統領選を争うことになっていたジウマ大統領(労働者党・PT)やアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)もかけつけた。ジウマ氏はルーラ元大統領を伴って現れたが、会場からは罵声を浴びる一幕も見られた。
この日、マリーナ氏からマスコミに向けての公式なコメントはなかったが、同氏は、16日深夜のカンポス氏の遺体到着時も空港に同行するなど、レナタ氏をはじめカンポス氏の一族とほとんどのときを共にした。
また、カンポス氏と同じくサンパウロ州サントスで墜落したセスナ機に搭乗していた操縦士、副操縦士、カメラマン、カンポス氏の側近など6名の犠牲者の葬儀は17日、各人ゆかりの地(レシフェやパラナ州、ミナス・ジェライス州、セルジッペ州)で次々に行なわれた。