ブラジル社会党(PSB)は19日、13日の飛行機事故でエドゥアルド・カンポス氏が急死したことを受けたマリーナ・シウヴァ氏の大統領候補昇格を前提とした新しい副候補に、同党の下院リーダーをつとめるベト・アウブケルケ氏(51)を選出した。20日付伯字紙が報じている。
副候補に選ばれたアウブケルケ氏は南大河州出身で、1999年から4期連続で下院議員をつとめている。同氏は80年代からPSBに所属し、カンポス氏が政治家としては駆け出しだった頃から親しかった人物としても知られている。
アウブケルケ氏は2003年にルーラ大統領から政府の下院副リーダーに選ばれ、同政権終了までその責務をはたした。第一次ルーラ政権では遺伝子組み換え大豆の栽培自由化の暫定令(MP)を通すことに貢献するなど農業界とのつながりも深いが、当時環境相だったマリーナ氏はこのMPに反対していた。
アウブケルケ氏はセルロース・リオグランデンセ社やクラビン社などの製紙・セルロース業界大手や農薬会社とも強い結びつきがある。2010年の下議選挙ではこれらの企業が同氏への献金母体となっていた。
現政権では議会内における反ジウマ派の先鋒の一人で、カンポス氏にPSBと連邦政府との連立解消を早くから勧めていた人物としても知られている。
PSBのロベルト・アマラル党首は19日、副候補に関し、「本当はカンポス氏夫人のレナタ氏が〃夢の候補〃だった」とその内幕を語った。レナタ氏は表立った政治活動は行なっていないものの、カンポス氏の政治的な決定の多くに影響力を持っていたとされ、党内でも一目置かれている。カンポス氏の葬儀の際も、民衆からはレナタ氏を副候補にとの声援が沸き起こっていた。
だがレナタ氏は、今年出産したばかりの4男をはじめとした5人の子供の子育てと、カンポス氏の後を受けてペルナンブッコ州知事選に出馬しているパウロ・カマラ氏の支援を継続したいとの理由から、副候補としての出馬を拒否していた。
PSBペルナンブッコ支部は、カンポス氏の同州知事時代の右腕的存在だったダニーロ・カブラル氏を副候補として希望したが、PSBの上層部が、マリーナ氏や同氏が昨年結党しようとしていた持続ネットワーク(RS)のメンバーとの相性からアウブケルケ氏を選ぶに至った。
アウブケルケ氏は「この大役を引き受けることになって非常に光栄だ」と語り、マリーナ氏とも「歩調はばっちり合っている」と語った。同時に、カンポス氏が知事選や連邦議員選など、州レベルで築いてきた選挙での連立は守ることも明言した。
アウブケルケ氏はマリーナ氏の副候補に選出されるまでは南大河州の上院選挙に出馬していたが、現時点では世論調査で3位に甘んじ、当選が難しいと言われていた。
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