ギド・マンテガ財相が20日、景気刺激のための新しいクレジット拡大策を発表した。中央銀行とも連携しての新政策は車や家屋といった高額な耐久財の購入を容易にするためのもので、市場からはその効果を疑問視する声も出ていると21日付伯字紙が報じた。
財務省が販売拡大を狙う車や家屋は近年の経済成長を支えてきた主要項目の一つだが、経済の減速化という言葉が聞こえ始めて以降、売上も伸び悩み、過剰在庫や生産調整が雇用の落ち込みにも繋がってきている。
今年の国内総生産(GDP)の成長予想は1%以下、第2四半期はマイナス成長の可能性ありといったネガティヴな情報が飛び交う中、政府の経済スタッフが導入を決めたのは、民間銀行から中央銀行への供託金の割合を縮小し、ローンでの車購入のための融資額を拡大した銀行にボーナスを出すなどして、250億レアルのクレジットを生み出すという方策だ。
民間銀行からの供託金100億レアルが市場に還元されれば、民間銀行は消費者への融資枠を拡大したり、銀行間の取引を増額したりする事が可能となる。
また、消費者に融資した金額が回収不能となった時のための保証として取り分けておく額を融資額の75%に縮小し、銀行が動かせる資金を増やすと共に、分割払いの回数は60回までという枠を撤回。車の購入を希望する顧客への融資額を20%以上増やした銀行にはボーナスを支給し、公務員への融資のための保証額を融資額の75%から50%に縮小するなどの措置もとられる。
だが、中央銀行が約1カ月前に発表した450億レアルを市場に注入するという措置は金融市場を刺激するには至っておらず、今回のクレジット拡大策も短期的な効果は薄いとの見方が多い。
クレジット拡大の効果が出ない原因の一つは国民の多くが負債を抱えている事で、8月に入ってからも、サンパウロ州で債務を抱える家庭は51%とか、7月の債務不履行は4%増えたといった報道が流れた。また、21日付各紙サイトには、債務の返済が3カ月以上遅れている債務不履行者は史上最高の5700万人で、18歳以上の消費者1億4400万人の約40%に達したとの記事も出た。
18日付エスタード紙には、インフレ分を差し引いた正規雇用者の所得はローンなどの融資返済額の増加率と同程度の伸び(13年6月は所得が3・6%で返済額が3・5%)で、新たな融資を組んだり消費を拡大したりする余裕がなくなっているとの記事も掲載されており、国内消費に支えられた形の経済成長は困難な状況といえる。
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