ここ15年間の地球上の大気の温度がその前の15年間ほど上がっていない事について、ワシントン大学の中国人の学者コンビが、地球温暖化に伴う熱エネルギーを大西洋やオーストラリア周辺の海が吸収しているとの仮説を発表した。
地球上の大気温は1970年代後半から上昇し始め、2000年代前半までは上昇が続いたが、その後は一時下降し、2010年以降また上昇している。また、2000年代前半の気温の伸びを示すカーブは、1980年代後半~2000年のカーブよりやや緩やかになっている。
専門家は、1950~1970年代前半と2000~現在を気温の停滞期(継続しているものの中断を意味するHiatoと言う言葉を使用)と呼んでおり、このような現象が起きる理由を探求している。
雑誌『サイエンス』に発表された、地球上3600カ所に配置された浮きを使って測定した海水温の分布によると、1985~98年の大西洋では、水温が若干高めである事を示す濃い黄色の部分は北緯20~40度の水深100メートル以下のところと600メートル付近だけ、薄い黄色も北緯40度付近で水深300~1千メートルのあたりに広がるだけで、それ以外の水域は水温が若干低めの水色がかなりの部分を占めていた。
ところが、1999~2012年の図では、水温が更に高い事を示す赤の部分が赤道付近と北緯15~60度の水域の海面全域に広がり、水深300メートル付近まで赤というところもある。濃い黄色も北緯40~60度の水域では水深600メートル付近まで広がっているところがあり、南緯20度から北緯20度の水域にも薄い黄色が点在。南緯20度から北緯30度の水域に広がる若干薄い黄色は水深1500メートル付近まで伸びており、水色の部分は、北緯20度の水域の水深500メートル付近と北緯30度の水域の水深1200~1500メートル付近にかろうじて見られるだけだ。
サイエンス誌に発表されたのは大西洋やオーストラリア周辺の海水温のデータだが、学者達は、ペルー沖の太平洋の海面温度が上がり、世界的な気象変化を引き起こすエルニーニョが再び起きたら気温の停滞期が終る可能性もあると発言。大西洋やオーストラリア近海がこれからも継続して熱エネルギーを吸収出来れば大気温の再上昇はもう少し先になるというが、記録的な干ばつ・少雨に悩むブラジル南東部の諸州には、エルニーニョは更に激しい干ばつを意味する可能性もある。
ブラジルでは地域により干ばつと大雨の双方の被害が出ているが、日本で続く水害は、海水温の上昇で熱帯性低気圧や前線の発生が増えて引き起こされている可能性ありだ。大気温の上昇は停滞しているからと温暖化対策の手を緩めれば、海水のエネルギー吸収力が限界になった時の反動はより大きくなる。(22日付フォーリャ紙より)
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