【既報関連】19日にパラグアイで捕まり、20日からはサンパウロ州トレメンベーの刑務所にいるロージェル・アブデウマッシ元医師(70)に、他人の精子を使った受精卵の無断利用で有罪判決が出ていたと22日付フォーリャ紙が報じた。
不妊治療で名声を博したロージェル元医師が治療を依頼した夫妻や精子や卵子の提供者の了承も得ずに受精卵を作って利用していた事は、元医師が性的犯罪の捜査対象になっているとの2009年の報道を機に明らかになってきた。
元医師逮捕に先立つ7月15日に50万レの賠償金の支払を命じる判決が下った例では、1994年に治療を受けた夫妻が人工授精で得た双子が09年の報道後にDNA鑑定を受けた結果、別の男性の精子を使った受精卵によって誕生していた事が判明。夫妻は400万レの賠償金を請求したが、裁判では50万レの支払が命じられた。被害者側の弁護士によれば、同様の告発は少なくとも4件あり、精子の提供者は今も不明だという。
元医師は37人に対する48件の強姦により、2010年に278年の実刑判決を受けたが、性犯罪に関する告発も更に増えており、20日にコンゴーニャス空港に着いた元医師は何十人もの被害者の罵声を浴びた。
1993年に元医師の診療所を訪れた女性は、アナルセックスと通常のセックスの両方の被害に遭って感染症を起こし、別の病院で卵巣と卵管を摘出された。警察に訴えても取り合ってくれず、離婚に追い込まれたという女性は2008年の裁判で証言台にたった。精神的なショックで急激に太り、異性との僅かな身体接触も出来ないほどのトラウマに陥ったが、最近になってやっと通常の生活に戻ったという。
同様の悲哀を体験、今も恐怖や怒りに駆られる人以外にも、遺伝子の異常の有無の検査をせずに治療が進められ、先天的な遺伝子異常による病気を抱えた子供が生まれたという例もある。
21日付伯字紙によれば元医師の国外逃亡は元検察官の妻ラリッサ・マリア・サッコ氏(37)の勧めによるもので、ラリッサ氏と3歳の双子の子供は元医師逮捕の日に行方をくらまし、パラグアイの国際警察が捜索中だ。元医師の家族は既にブラジルに戻った可能性もある。検察は元医師がパ国に入った際の文書偽造などの事実解明を試みており、関与した人物が告発される可能性もある。
22日付エスタード紙によると、元医師は刑務所に戻るよりは自殺をと考え、拳銃を購入したが自殺は断念。現在は70歳以上の囚人は自宅での服役を認める刑法の適用を期待しているが、専門家らは同氏の場合、同法適用は困難と見ている。