広島大学がサンパウロ州研究財団(FAPESP)と今月29日に協定を結ぶにあたり、同大大学院文学研究科長の勝部眞人さん(61、大阪)が研究の下調べ等に当地を訪れた。
2009年にブラジル拠点として広島県人会に「広島大学ブラジルセンター」が設置された。その後サンパウロ総合大学(USP)と学術協定が実現、昨年から両大の人文学部・文学研究科の間でも交流が始まった。ブラジルは、広大が学術交流を行なう南米唯一の国という。
同財団はサンパウロ州の学術・科学技術の発展を目的としており、今回の協定締結により、広大と州内の学術機関との交流事業に対し財政的支援が行なわれることに。岡本哲治副学長が来伯し、調印式に臨む。
勝部さんは、移民社会の研究を目的に昨年初来伯。森幸一USP教授や本山省三・人文研理事長と協力し、「村社会と産業組合」をテーマに両国の比較を行う予定という。「色んな形で交流が可能な自然科学系に対し、人文系はどこまで交流できるかが課題」と方向性を探っている。
今月初旬からUSP歴史学科に留学中の袴田涼平さん(22、静岡)も同教授と共に来社。日本語で書かれた資料が失われていく現状も知った上で、日系社会の研究を進めていくという。