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財務省が帳尻あわせ?=8月の失業保険額が急増=中央会計は22億レの赤字

 連邦政府が国庫からの支出を調整し、基礎的財政収支の悪化をカモフラージュしようとしていると思われる報道が続いている。
 その一例は、社会統合基金(PIS)‐公務員財形計画(Pasep)による手当てや失業保険の支払額が8月に急増したという29日付エスタード紙の報道だ。
 8月26日までの支払額は、手当てと失業保険の合計で85億9100万レ。これらの項目の7月の支払額は、計46億2900万レで8月の半分強。6月は失業保険15億1900万レのみで8月の5分の1以下だ。
 ブラジルの雇用創出は思わしくなく、工業界では解雇が採用を上回る状態も続いているが、8月の失業者は6月の5倍や7月の倍というほど増えていない。そこで生じるのは、未払い分の手当てや失業保険をまとめて払ったという考えだ。
 専門家は、政府の経済スタッフが支払をわざと遅らせ、財政収支の悪化をより小さく見せようとしたと考えている。前期項目の第1四半期の出費は101億5100万レ(月額は39億9700万レ、29億5200万レ、32億200万レ)だったが、第2四半期は70億3300万レ(同30億130万レ、25億100万レ、15億1900万レ)だった。
 個々人への手当てや失業保険の支払は連邦貯蓄銀行が担当しているが、国庫からの支払が遅れると連邦貯蓄銀行が立て替えて払う事になり、同行への負担がいや増す。
 政府の財政スタッフによる財政収支の実態のカモフラージュは、経済活性化計画(PAC)などの公共事業費の支払を遅らせるという形でも行なわれている。
 24日付エスタード紙によれば、1~7月のPAC事業の経費総計は334億レだが、当月中に政府が払った額は92億レ、昨年までに施行された事業分の支払は246億レだった。
 前年度までの事業経費未払分はレスト・ア・パガールと呼ばれ、予算上には出てこないが支払いが必要だ。国庫庁によれば、13年度から14年度への繰越分は690億レで前年度の繰越分より160億レ多い。年度初めに発表される予算カットは、財政収支の不足分や前年度までの未払分捻出のための常套手段で、選挙年の今年は繰越分が例年より順調に支払われる見込みだという。
 29日付アジェンシア・ブラジルによれば、7月末の国庫や中銀、社会福祉などの中央会計赤字額は1997年の統計開始以来、最大の22億レで6月末より3億レ増大。最初にあげた手当てや失業保険は、税収減や支払額が予算より増えた事で168億レの赤字となる見込みだ。連邦政府は28日に予算案を提示したが、財政が健全化できないままの予算案提出の悪癖も改革が必要だ。