リオ・グランデ・ド・スル州トレス・ペッソーアスで4月に起きたベルナルド・ボウドリニ君殺害事件で、ベルナルド君の母方の祖母から依頼を受けたマルロン・タボルダ弁護士が、同君の母親の死因についても再調査を要請する意向だ。
ベルナルド君の母親は2010年に自殺したとされていた。だが、ベルナルド君殺害事件の調査に当たった市警が、同君の父親のレアンドロ・ボウドリニ容疑者の携帯電話から消去されたビデオの映像の再生に成功。その内容を聞いたベルナルド君の祖母やタボルダ弁護士は、ベルナルド君の母親も殺されたとの実感を強くした。
問題のビデオは2013年8月に撮られたもので、ベルナルド君とレアンドロ容疑者、継母のグラシエレ・ウグリニ容疑者が言い争う声が録音されている。父親と継母はベルナルド君が日頃から反抗的で、暴力さえ振るう証拠として録画したというが、「助けて!」と繰り返し叫ぶ声から始まるビデオには、ベルナルド君が日頃から冷淡な扱いを受けていた事や同君の母親も殺害された事をうかがわれせる部分が入っている。
タボルダ弁護士がベルナルド君の母親も殺されたと考えた理由は、「あなたもあなたのお母さんと同じ終わり方をするのよ」という言葉だ。
ビデオの中程に「お前の母さんはお前を捨てたんだ」という父親の言葉に、ベルナルド君が「違う、あんたのせいだ」と言い返す場面がある。継母が「あの人はあなたのお父さんを殺そうとしたのよ」と言うと、ベルナルド君が「お前が母さんの邪魔ばかりしていたからだ」と反論。父親が「母さんは銃弾2発を入れて診療所に行くために38口径の銃を買ったんだ。(そのままにしておいたら)私の身に何が起きたと思う?」と問いかけると、ベルナルド君が「死んでいたらよかったんだ」と叫び、父親が「生きている価値もない奴のために俺の命を犠牲にするのかい」と問い返す。それに対しベルナルド君が「死んでしまうべきだったんだ。こいつ(継母)も一緒に死んでしまえばいいんだ」と言うと、継母が「あなたが先に行くのよ。あなたの状態は病的よ」「お母さんと一緒ね。あなたもあなたのお母さんと同じ終わり方をするのよ」と続け、ベルナルド君が「違う」と叫ぶといった具合で喧嘩が続いていく。
ビデオには、ベルナルド君が警察に通報するから電話を貸してと頼む部分や、継母が「あなたは私がどんな事ができるか知らないのよ」「この家であんたに邪魔されて生きていく位なら刑務所で朽ちていく方がいいわ」「誰の方が強いか見てみましょう」「誰が最初に地の下に下るのか(死ぬのか)見てみましょう」と語る部分もある。
別の箇所では、父親が「ああ、この薬だ」と言うのを聞いたベルナルド君が「僕を殺すの」と力なく言い、「(体重は)何キロだ」と訊かれても「知らない」と答える場面がある。この時のベルナルド君の口調は別人の様で、継母が横から「60滴飲ませれば」と言うと、「僕は死ぬんだ(自殺するんだに相当する表現)」と言い始め、継母が「レアンドロ、包丁を頂戴」と叫んだ後に沈黙が続く。しばらくして父親に「何をしてるか判るか」と訊かれたベルナルド君は「僕は死にたい」と弱々しく言って言葉が途切れた。
この時飲ませた薬が何かは不明だが、これらの会話からは、ベルナルド君の母親にも何らかの薬によって自殺願望を持たせ、自ら命を絶ったように見せかけた可能性を疑う人も出てくるだろう。
タボルダ弁護士がいつ再調査を要請するか、また、検察がそれに応じるかは不明だが、8月26日に始まった裁判の行方とその後の動向が注目される。(8月29日付のG1サイトやエスタード紙、フォーリャ紙などより)