スイスを本部とする世界経済フォーラム(WEF)が2日に発表した世界144カ国・地域の国際競争力ランキングによると、ブラジルの順位は2013年より一つ低い57位となったと3日付伯字紙が報じた。
WEFの国際競争力は国家の生産力レベルを評価したもので、インフラや教育、労働市場、金融サービス、ビジネスの洗練度などの項目について調査した結果を統合したものだ。
ブラジルは1990年代から同調査の対象とされており、近年はコモディテイの需要増で順位を上げてきたが、高成長期の利点を活かしきれず、ここ2年間で順位を9落とした。WEFは、国家の生産力低下は今後の経済成長を阻害するため、税制改革や労働条件の整備などの広範囲にわたる思い切った改善策が不可欠と警告している。
ラ米でのブラジルは33位のチリに次ぐ高順位で、以下、メキシコ61位、ペルー65位などと続く。デフォルトに陥ったアルゼンチンは104位だった。一方、BRICSの中では、順位を11下げて71位となったインドを上回ったのみで、一つ上がった中国の28位や11上がったロシアの53位、三つ下がった南アフリカの56位に次ぐ4番手だった。
13年より順位が落ちた項目は、労働市場の効率性(92位が109位)や連邦機関の効率性(80位が94位)、マクロ経済を取り巻く環境(75位が85位)などだ。連邦機関の非効率性は13年6月の抗議行動(マニフェスタソン)でも指摘されており、政府のあり方次第で変化する項目の評価は、政府規制143位、政治への信頼性140位、政府の浪費137位、公金の不正支出135位、政府の効率性131位、汚職130位、教育126位、組織の効率104位など、非常に低くなっている。
企業家との対話不足が指摘され、第2四半期には景気後退(リセッション)に陥るなど、経済政策に難点を抱えるジウマ政権の現状は、経済動向で85位という低評価を受けた事にも表れた。
順位が上がったのは保健衛生と初等教育(89位が77位)、高等教育と職業訓練(72位が41位)など。これらの項目は、マイス・メジコスの導入や、熟練工の不足などを訴える労働市場の声に応えた結果といえそうだが、高校生の国際学力試験の結果などが振るわず、教育全体の評価は126位で終った。
WEFはもう、2015年1月にスイスで開かれるダヴォス会議に10月の統一選挙で選ばれるブラジル大統領の出席を依頼している。統一選での当選者は、新任か再任かに関わらず、就任式から3週間後の国際会議でブラジルを景気後退から脱出させるための方策についての説明を求められている。