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オムロンがNS社を買収=医療機器の現地生産へ

 オムロンヘルスケア株式会社(本社=京都府向日市、宮田喜一郎代表取締役社長)が、呼吸器疾患の治療に使われるネブライザ(吸入器)の生産・販売会社「NS Industria de Aparelhos Medicos Ltda.」を買収すると発表した。買収価格は2億レアル。1日に契約合意に達した。
 ブラジルは世界最大規模のネブライザ市場を有しており、NS社は国内市場シェアの40%を握る最大手。当地では家庭用医療機器市場の拡大も見込めることから、NS社の買収により複雑な輸入手続きや高い輸入税率などの障害を撤廃し、国内での生産体制を確立、ネブライザ事業と血圧計の売り上げ拡大を図る。
 同社は生活習慣病の予防や改善、呼吸器疾患の吸入治療分野における成長を事業戦略にかかげ、中国、インド、中南米など新興国での事業拡大に力を入れてきた。ブラジルには04年に輸出を開始、08年に現地法人を設立した。
 これまで主軸として事業展開してきた血圧計は市場シェアを急速に伸ばして現在28%に、血圧計に次ぐ柱と位置づけるネブライザは8%のシェアを占める。
 ネブライザは17年までに両社のシェアを現在の48%から55%以上に引き上げるほか、血圧計は2016年をめどに現地生産に切り替える方針だ。
 2日にサンパウロ市のホテルで記者会見が開かれ、本社の荻野勲・執行役員副社長、竹田誠治・グローバル営業企画本部本部長、現地法人のワンデルレイ・クーニャ社長と福田鑑介取締役らが出席し、事業目標などを説明した。
 竹田本部長は「オムロン社の昨年の売上高は4千万、NS社は1億レアル。これからも良いものを適正価格で売り、2016年の総売り上げ2億レアルを狙って行きたい」と話した。
 オムロンヘルスケアは健康機器の開発・販売を行なうオムロンの子会社で、日本国外15カ国に拠点を置く。血圧計のほか体重体組生計、歩数計、体温計、電動歯ブラシなどを扱っている。